「人は変わらない」

 多くの経営者、管理職の方が部下との関係に悩み、そしてこの言葉を口にする。これまで何度となく部下を指導してきたが、結局、何回言っても変わらなかった。そんな経験から「人は変わらない」という言葉が口をついて出てしまうのだろう。

 経営コンサルタントとして多くの経営相談を受けているが、人の悩みは本当に尽きない。人に比例して、組織も成長・衰退していく。

 人がどうであれ、ビジネスモデルや商品によっては短期的に成長することもある。しかし、長期的な成長を考えた場合、人の問題から目を背けることはできない。

 そのため、組織を成長させている経営者やリーダーは、「人は変わらない」では終わらせない。

他人は変えられないが自分は変えられる

 今回も前回(『やばいと感じたら、「チャンス」と呟けば世界は変わる』)に引き続き、言葉が感情に与える影響についてお話ししたい。

 「他者と過去は変えられない。自分と未来は変えられる」

 カナダの精神科医:エリック・バーンの言葉である。「人は変わらない」と嘆き、相手が変わらないことに意識を向け続けていれば、ただただストレスがたままる一方であり、精神衛生上もよくない。

 相手との人間関係も悪化の一途を辿るのみである。相手が変わらないのであれば、そこに意識を向けるのをやめ、自らの力で変えられるものに意識を向ける方が精神衛生的にも良い結果をもたらす。