先週の米国株式市場
―利上げ後ズレの思惑などで上昇―


<先週の概況>

先週の米国株式市場は主要3指数が揃って上昇しました。ダウ平均は3月24日以来約2週間ぶりに1万8000ドルの節目を回復しています。

3日に発表された雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回ったことで利上げが後ズレするとの思惑が高まったほか、ゼネラル・エレクトリック(GE)が事業再編案の発表によって大きく上昇したこともマーケットのセンチメント改善に寄与しました。


米国株式市場バリュエーション




業種別リターン



ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中26銘柄が上昇、4銘柄が下落しました。ゼネラル・エレクトリック(GE)は不動産資産を全て売却するなどの事業再編を実施し、最大500億ドルの自社株買いプログラムを実施すると発表したことで大幅高となりました。その他にはインテル(INTC)、マイクロソフト(MSFT)、シスコシステムズ(CSCO)などハイテク関連銘柄の上昇が目立ちました。

<下落>

ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ウォルマート・ストアーズ(WMT)、トラベラーズ・カンパニーズ(TRV)の4社が週間で下落したものの、いずれも下げ幅は小幅にとどまりました。

先週発表された主な経済指標

ISM非製造業景況感指数 3月 56.5 市場予想 56.5 前月 56.9

6日に発表された3月のISM非製造業景況感指数は、前月から小幅に悪化した56.5と市場予想と一致しました。ヘッドラインの構成項目の内訳を見ると新規受注(56.7→57.8)、雇用(56.4→56.6)の2項目が前月から改善した一方で、入荷遅延(55→54)と業況(59.4→57.5)の2項目が悪化とまちまちでした。

先に発表された製造業指数は11月以降4ヵ月連続悪化して3月は51.5と改善と悪化の境目となる50に近づいている一方で、非製造業指数は依然として高水準を保っており両指数の乖離が広がっています。


今後発表される主な経済指標

4月14日 3月 小売売上高(自動車・ガソリン除く前月比) 市場予想 +0.6% 前月 -0.2%

14日に3月の小売売上高が発表されます。変動の大きい自動車とガソリンを除く売上高は、足元まで2ヵ月連続で前月比マイナスとなっています。

昨年末以降、原油安による可処分所得の増加により個人消費が増加するとの期待が大きかった米国経済ですが、2月の指標ではその傾向は見られていません。3月以降の指標でその傾向が出てくるのか注目されます。


マーケットビュー
―1―3月期の企業の決算発表に注目―

今週からいよいよ1―3月期の米国企業の決算発表が本格化します。4月10日時点のトムソン・ロイター社の集計によれば、2015年1―3月期のS&P500採用企業の利益は、前年同期比2.9%の減益となる見込みです。業種別の増益率を見てみると、金融・ヘルスケア・一般消費財・資本財・情報技術・生活必需品の6業種は増益を確保する見込みの一方で、エネルギー・公益事業・素材・電気通信サービスの4業種が減益となる見込みです(表参照)。中でもエネルギーは64%の減益見込みとで全体の足を大きく引っ張る格好となっています。



ドイツのDAX指数が昨年末から先週末までに約26%、日経平均が約14%上昇している中でダウ平均はわずか1.3%の上昇と、相対的に低いパフォーマンスにとどまっている要因の1つには、この利益の伸び悩みがあると考えられます。逆に言えば、足元の利益の伸び悩みは株価にある程度織り込まれている考えることができ、ここからの株価の一段の上昇は企業の発表する決算がポジティブ・サプライズとなることができるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

今週はインテル(INTC)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、JPモルガン(JPM)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、バンク・オブ・アメリカ(BAC)、シティ(C)、ゴールドマン・サックス(GS)、ゼネラル・エレクトリック(GE)などの決算発表が予定されています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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