書店員歴より飲酒歴の方が長い私は、大の宴席好き。大勢で賑やかに、また仲のいい友人とサシでじっくりと、頻繁に盃を重ねています。そんな私もいまだに苦手なのが、酒場での一人飲み。他のお客さんに「一人で飲んでいて寂しい人だな。」と思われているようで、周りの目が気になります。また、店内の喧騒の中、一人で佇む自分を寂しく感じてしまいます。その結果どうにも落ち着かず、自然と飲むスピードが速くなってしまい、早々に退散してしまう羽目に・・・。

 仕事帰りにふらっと暖簾をくぐり、馴染みの定員と他愛のない会話をしつつグラスを空け、適度に切り上げて帰宅する、という大人の飲み方に憧れてはやうん十年。まだまだその道のりは険しそうです。

 まずは一人でいるシチュエーションに耐えられるように、寂しいという感情を肯定的に捉える練習から始めてみましょうか。

寂しさが成功のためのエネルギーを生み出す

 まず初めに『寂しさの力』(中森明夫著、新潮新書)。

『寂しさの力』(中森明夫著、新潮社、756円、税込み)

 よく考えると不思議なものです。「嬉しい」「楽しい」「悲しい」・・・。感情を表す言葉形はたくさんありますが、普段、誰かに「寂しい」と伝えることはあまりありません。相手にネガティブなイメージを与えてしまうので、使うのを避けてしまうのかも知れません。

 この「寂しい」という感情の持つ秘められたパワーに注目しているが本書です。

 さて、ここで問題。ウォルト・ディズニー、スティーブ・ジョブズ、美空ひばり、山口百恵。この4人に共通するある事情とは何でしょうか?

 答えは、それぞれ恵まれない家庭環境で育ったことです。彼らはその逆境をバネに頑張り、夢を掴みました。寂しさから生まれる精神的な飢えこそが、成功するためのエネルギーなのです。