(2015年4月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

【特集】アップルのApple WatchとiPhone6

4月24日、世界9カ国で発売される「アップルウオッチ」〔AFPBB News

 誰かがスマートフォン(スマホ)に匹敵する可能性があるブレークスルーと称えられる新しいハイテク製品を生み出したが、その製品を潜在顧客の85%が利用できないようにしたら、どうなるか。

 それが、米アップルが「アップルウオッチ」の発売でやろうとしていることだ。同社は10日からオンラインで注文を受け付け始め、2週後に9カ国でウオッチを発売する。

 新しい「ウエアラブル」のコンピューティングプラットフォームとして、これまでで一番期待が持てるモノにしては、ウオッチは頓挫する恐れがある。

 ウオッチを持つことになるのは、アップルの既存顧客の一部だけだ。なぜなら、ウオッチは「iPhone(アイフォーン)」に縛り付けられているからだ(そのiPhoneはスマホ所有者の6人に1人しか利用していない)。

自己完結型の製品に固執する傾向

 ウオッチはiPhoneから接続性を得る端末で、ウオッチ上で動作するアプリは、アップルの「アップストア」が扱う同社製モバイル端末用のアプリの拡張版だけだ。

 影響力のある米国の経営学教授、デビッド・ヨッフィー、マイケル・クスマノ両氏によると、これは技術プラットフォームの重要性に対するアップルの中途半端な受容の最新の兆候に過ぎない。

 両氏は4月半ばに上梓される新著『Strategy Rules』で、アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏は本能的に、自己完結型の製品――独自の規則で機能する、強固に統合された技術要素――の開発に引き寄せられたと主張する。