本記事は3月19日付フィスコ企業調査レポート(大幸薬品)を転載したものです。
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医薬品事業の海外販売拡大や感染管理事業の新製品展開に注目

 大幸薬品<4574>は「正露丸」「セイロガン糖衣A」を中心とする医薬品事業と、ウィルス除去・除菌・消臭製品「クレベリン」シリーズを中心とした感染管理事業を展開している。

 2015年3月期の第3四半期累計(2014年4月-12月)業績は、売上高が前年同期比8.1%減の7,207百万円、営業利益が同3.4%減の2,528百万円となった。医薬品事業では国内販売が減少したものの、海外販売は中国を中心に堅調な伸びが続いている。また、感染管理事業では前年同期における特需の発生や、2014年3月期末における消費者庁関連報道の影響が大きかったものの、2015年3月期の第2四半期(2014年7月-9月)以降の売上は好調に推移しており、第3四半期(2014年10月-12月)は前年同期を上回り過去最高となった。

 上記の状況を踏まえ、同社は2015年3月期の通期業績見通しを上方修正している。売上高を従来の8,200百万円から8,900百万円(前期比10.5%減)に、営業利益を1,560百万円から2,200百万円(同15.1%減)にそれぞれ引き上げた。なお、業績下振れのないよう返品額を保守的に見積もっているようだ。結果的に返品額が抑えられれば業績の上振れ要因となるだろう。

 感染管理事業では、建設中の新工場の稼働予定を2017年3月期から2016年3月期に前倒しし、来期の感染症流行シーズンに向けて生産体制を整える。また、新たな空間除菌装置として開発を進める「二酸化塩素発生ユニット」だが、空気清浄機などの家電に組み込み空間除菌機能を付加するといった活用について複数の家電メーカーと話し合いが進んでいるもよう。2016年3月期にも販売開始される公算が大きい。国際的にも二酸化塩素ガスを用いたウイルス除去製品に対する評価が高まるなか、医薬品事業の海外販売拡大に加え、感染管理事業の今後の業務用の展開についても注目される。

Check Point

●医薬品事業は海外が引き続き好調、中国の販売拡大に期待
●感染管理事業の第3四半期売上高は過去最高に
●15年3月期末配当を増額修正、特別配当10円の上乗せで1株当たり25円に

2015年3月期第3四半期業績について

医薬品事業は海外が引き続き好調、中国の販売拡大に期待

 2015年3月期の第3四半期累計(2014年4-12月期)業績は、売上高が前年同期比8.1%減の7,207百万円、営業利益が同3.4%減の2,528百万円、経常利益が同1.0%増の2,743百万円、四半期純利益が同5.9%減の1,804百万円となった。売上総利益率は前年同期の69.9%から76.6%に上昇しているが、返品調整引当金戻入益の計上や円安効果に加え、より筋肉質な収益構造に改善している点も利益率向上に寄与した。医薬品事業では国内販売が減少したものの、海外販売は中国を中心に堅調な伸びが続いている。また、感染管理事業では前年同期における特需の発生や、2014年3月期末における消費者庁関連報道の影響が大きかったものの、2015年3月期の第2四半期(2014年7月-9月)以降好調に推移している。なお、同社は2014年6月に措置完了報告書を消費者庁へ提出、受理されており、措置命令への対応は完了している。