(2010年8月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ユーロ圏に住む人にとって、ドイツのスーパーでの買い物は、摩訶不思議な体験〔AFPBB News〕
ユーロ圏に住む者すべてにとって、ドイツのスーパーを訪れることは、摩訶不思議な体験となる。
先日、筆者がその体験を楽しんだ際は、ドイツで売られている商品の価格水準が概して、ベルギーやイタリア、スペインと比べて、およそ半額強であることが分かった。
これはもちろん、非科学的な推量に過ぎない。ただ、筆者がユーロ圏各国のイーベイのサイトで売られている商品を特定のカテゴリーで比較した時も、30%程度の価格差があることが判明した。
物価が極端に安いのにユーロ圏内で調整が起きない
このような価格差は、ユーロ圏各国の経済実績の格差を多少なりとも説明すると同時に、今後何が起きるかを見通すうえでの指針になる。この格差の真に興味深い点は、この現象がどのように生じたかではなく、なぜこれが自己調整しないのか、ということである。
どのように起きたかは分かっている。ドイツは競争力の面で不利な為替レートでユーロ圏に加わり、長期にわたる賃金抑制に乗り出した。マクロ経済学者なら、ドイツは他のユーロ圏加盟国に対する実質的通貨切り下げから利を得たと解説するだろう。
だが、実質為替レートは変動するものとはいえ、極端な不均衡が継続することは通常は考えにくい。
実質的な通貨切り下げから利を得たドイツ。本来なら、価格調整メカニズムが働くはずが、そうはなっていない〔AFPBB News〕
今回のケースでも、スペインやイタリアの消費者が価格の高い自国の小売店で買うことをやめ、ドイツのインターネットサイトに群がって通販で商品(特に耐久消費財)を買うようになるというのが、普通の考え方だ。本来であれば、最終的には何らかの価格調整が働くはずだ。
だが、実際にはそうなってはいない。
また、労働市場からも、再調整への圧力がかかると考えられるだろう。ドイツの輸出産業がフル稼働に戻っていくにつれ、ドイツの賃金コストがユーロ圏平均を上回るペースで上昇することが予想される。
だが、こちらも現実にはそうなっていない。
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