マレーシア・ジョホールバルの地場ドラッグストア「ガーディアン」(画像提供:筆者、以下同)

 今月1日、マレーシアでは初めてとなる、日本の消費税にあたる6%の「物品・サービス税」(GST)が導入された。

 3月31日までの間接税SST(売上税・サービス税)は米国と同じ一段階の売上税だったが、今般、GST導入に伴いGSTに一本化された。早速、近所のスーパーやドラッグストアに行って見ると、商品には税込み価格が表示されていた。

 日本では、昨年、消費税再増税の延期を決定した。マレーシアでも景気の減速懸念から延期論が出ていたが、結局、ナジブ政権は導入に踏み切った。

今も続く庶民からの反対の声

 GSTには、導入されてもなお、反対の声が続いている。

 一応、基本的な食料(米、野菜、小麦粉、砂糖、食用油、食肉、卵等)、電気・水道料金、輸出についてはゼロ税率で、金融サービス、住宅の購入・賃貸、高速料金、医療、教育、公共輸送、農地等の売買などは非課税とされているが、庶民の生活にどれくらいのインパクトが生じるか想像できないようだ。

 マレーシア労働組合会議(MTUC)は、物価上昇によって苦しめられている低所得者に対する負担を増やすとして、公式に反対を表明している。ゴーパル書記長の記者会見(3月27日)によれば、労働者の40%が月収2000リンギット(約64000円)以下とのことだ。

 現在の消費を維持した場合、世帯当たり月200リンギット(6400円)の出費増になると試算している。もともと低所得世帯は個人所得税を払っていないため、GSTの分が増税となるわけだ。

 一方、事業者への認知活動が不十分との声も大きい。制度上、年間課税売上高が500万リンギット(約1億6000万円)以上の事業者は毎月申告書を提出しなければならず、年間課税売上高が500万リンギットに満たない事業者は四半期毎に申告書を提出しなければならない。

 しかし、多くの事業者・販売店等はGSTシステムを十分理解しておらず、まだ準備ができていないようだ。