(2010年8月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米国の景気回復が失速している。経済学の観点からすると、リスクのバランスは、財政および金融政策による追加刺激策を強く支持している。ところが、政治が財政刺激策を妨げる一方、意見の割れた米連邦準備理事会(FRB)は金融刺激策をためらっているようだ。米国の指導者たちは国を失望させている。
米国の景気回復は完全に立ち消えてしまう危険がある。最近の統計は惨憺たる内容で、8月27日には第2四半期の経済成長率が1.6%に下方修正された。その前には、住宅市場で再び危機が生じる兆候が、株式市場に再度打撃を与えた。
住宅市場の統計はそもそも予想が低かったにもかかわらず、なお期待を裏切った。7月の中古住宅販売件数は30%近く落ち込み、15年ぶりの低水準になった。新築一戸建ての住宅販売件数は、統計を開始した1963年以来の最低水準となっている。
できるはずの財政刺激策を認めない米議会
大部分の先進諸国と異なり、米国は差し支えない程度の低いリスクで追加的な財政刺激策を講じることができる。何しろ、米国の債務に対するグローバルな購入意欲は衰えていない。
11月の中間選挙を控えて、政治は財政赤字を膨らませる追加対策に反対する方向に大きく傾いている(写真はワシントンの議事堂)〔AFPBB News〕
その程度のリスクは、米議会が「今刺激策を取り、後で抑制策を講じる」態度を表明すれば、完全に取り除くことができるだろう。これは簡単なことに思えるが、明らかに議会の理解の範囲を超えているようだ。
米政権はまさにそのようなパッケージを要求できるし、要求すべきなのだが、そうはしていない。
政治的な問題は、絶えず大きな政府を警戒する米国の有権者が誤って、最初の景気刺激策が高くつく失敗だったと判断したことだ。責任の一端は政権にある。政権は第1弾の刺激策が生むだろう効果を過大に吹聴し、さらにまずいことに、それを連邦政府の権限拡大という大きな課題の一環にした。
景気刺激策は「タイムリーで一時的、かつ的を絞ったものになる」というメッセージ(多くの有権者が必要としていた保証の言葉)は失われてしまった。
景気刺激策がどれほどの雇用を守ったのかは知る由もないが、失業率の高さをもってして刺激策に効果がなかった証拠とすることは馬鹿げている。高い失業率はむしろ、景気後退の重力がどれほど大きかったか、また、今もどれほど大きいかを示していると考えた方がいい。
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