(2015年4月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

「より良い生活」求め北朝鮮へ密入国、韓国人6人を送還

北朝鮮と韓国を隔てる軍事境界線・韓国側の非武装地帯(DMZ)に接する坡州から撮影した北朝鮮の機井洞(ギジョンドン)村〔AFPBB News

 新たな冷戦が盛んに語られる中で、世界には冷戦が一度も終わっていない場所があることは忘れられがちだ。筆者は2週間ほど前、そんな場所の1つを訪れた。南北朝鮮を分断する非武装地帯の南側では、観光客が望遠鏡を使って北朝鮮をのぞき込む。反対側では朝鮮民主主義人民共和国と称する国の巨大な旗が風にはためいている。

 1989年の欧州の冷戦終結は、朝鮮統一がすぐ後に続くとの期待を生んだ。25年経った今、その希望は疲れ果てた疑念に道を譲った。

 再統一が間近に迫っていると考える人はほとんどおらず、当局者らは若い韓国人が再統一という考えに興味を失っていることを心配している。

 韓国と北朝鮮の1人当たり所得の差は、今や40対1に達している可能性がある。これに対し、再統一時点の西ドイツと東ドイツの差は3対1程度だった。文化的な違いは所得以上に大きいかもしれない。言語さえもが乖離し、韓国人と北朝鮮人は時に互いを理解するのに苦しむことがある。

すべての関係国が警戒する統一プロセス

 多少の熱意をかき立てようと、朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる韓国政権は「再統一大当たり」について語り、北との統合は若くて安い労働力の集団を韓国経済に加えることで韓国に経済的な刺激を与える可能性があると訴えた。中国と中央アジアを通り、欧州に至る陸路が生まれる展望も潜在的な恩恵として謳われた。

 だが、多くの韓国人は、恐らくドイツで起きたことを意識してか、統一プロセス全体がとてつもなく高くつき、破壊的なものになると感じている。

 有力な地域大国――中国、米国、日本――にも警戒する理由がある。朝鮮半島はかつて日本に占領されたことがあり、根深い敵意が残っている。再統一は韓国の1.5倍の規模を持つ7500万人国家を生み、日本と真に同格の国になるかもしれない。