本記事は2月24日付フィスコ企業調査レポート(インテリックス)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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再生中古マンション事業の先駆け、地方販売拡大で回復目指す

 インテリックス<8940>は中古マンションをリノベーション(再生)してから販売するリノベーションマンション事業の先駆け的企業で、首都圏を中心としながら、地方の主要都市へも事業を展開中。また、更なる収益拡大を図るため、リノベーション内装工事請負事業や賃貸アセット事業など事業ポートフォリオの多様化を同時に進めている。

 2015年5月期の第2四半期累計(2014年6月—11月)の連結業績は、売上高で前年同期比6.8%減の12,468百万円、営業利益で同42.6%減の399百万円とほぼ期初会社計画並みの減収減益となった。主力事業である中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)の売上総利益率低下に加えて、地方拠点の拡充に伴う人件費など販管費の増加が減益要因となった。

 2015年5月期の連結業績は売上高が前期比3.3%増の27,259百万円、営業利益が同18.8%減の1,215百万円と増収減益を見込む。リノヴェックスマンション事業は地方拠点の販売増で増収 を見込むものの、2015年5月期は新築マンションの分譲販売予定がないことや、今後の業容拡大に向けた先行コスト負担が増加することなどが減益の要因となる。ただ、半期ベースで見ると今2015年5月期上期を底に下期以降は回復に転じる見通しだ。

 2016年5月期以降は、リノヴェックスマンション事業における地方拠点での拡大に加えて、賃貸アセット事業が新たに収益貢献する見通し。賃貸アセット事業とは、不動産特定共同事業法(以下、不特法)の活用による不動産の小口化販売のことを指し、投資家は相続時の評価減等の不動産の税制メリットを享受できることが特徴となっている。早ければ2015年3月にも認可が下りる見通し。需要動向を見極めながら、事業拡大を進め、数年後にはリノヴェックスマンション事業と並ぶ収益柱に育てていく意向である。2015年度からは、税制改正によって相続税の課税対象範囲が拡大することも追い風になると考えられ、今後の展開が注目されよう。

Check Point

●優良物件の迅速な仕入と高品質で短工期の独自工法に特長
●地方で急速に伸長する中古マンション仕入販売に明るい兆しも
●通期は期初計画を据え置き、地方拠点の拡充費用を織り込む

事業概要

首都圏での再生中古マンションの流通事業が収益の柱

(1)事業セグメント

 同社は中古マンションを戸別に仕入れ、リノベーション(再生)した後に、再販するリノベーションマンション事業を収益柱としている。

 事業セグメントとしては、中古マンション再生流通事業(リノヴェックスマンション事業)とその他不動産事業とに区分されているが、全体の8~9割程度を中古マンション再生流通事業で占める構成となっている。

○中古マンション再生流通事業

 中古マンション再生流通事業には、リノヴェックスマンション販売のほか、保有不動産の賃貸収入、及びその他収入が含まれるが、その比率は1〜2%であり、大半はリノヴェックスマンション販売となる。

 事業の流れとしては、不動産仲介会社を介して仕入れた物件に対し、子会社の(株)インテリックス空間設計で最適なリノベーションプランを作成し内装工事を施したうえで、再度、不動産仲介会社を通じて販売する流れとなる。

 同社では物件を仕入れてから販売までの事業期間を重要視しており、100~110日を目安に、これよりも期間が長引くようであれば、販売価格の調整を行い、早期に売り切る方針を採用している。販売在庫の滞留期間が長期化すればするほど、収益性が低下するリスクも上昇するためだ。

 販売に関しては市場のトレンドを把握するため、一部の物件を子会社のインテリックス住宅販売を通じて最終顧客に販売している。また、内装工事に関しては、現段階ではほぼ協力会社に外注している。

 販売エリアは首都圏を中心に展開している。エリア別構成比で見ると、2015年5月期の第2四半期累計期間で、神奈川県や東京都を中心とした首都圏が87.7%を占めている。前期からの変化点としては、その他(地方拠点)が12.3%と初めて10%を超えた点が注目される。首都圏で競争が激化する一方で、2年前より地方拠点での事業展開を進めてきた成果が顕在化してきたものと考えられる。

 なお、2015年5月期の第2四半期において同社が取り扱う中古マンションの平均築年数24.1年で、平均仕入価格 14百万円、リノヴェックスマンションとして販売する平均販売価格は21百万円となっている。また、売上総利益率では12~13%を適正水準として、事業運営を行っている。