本記事は3月12日付フィスコ企業調査レポート(電算システム)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之

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14/12期は売上高、利益ともに過去最高を記録

 電算システム<3630>は岐阜県発祥の独立系総合情報処理サービス企業で、現在では全国規模で事業を展開している。事業内容は、SI、ソフト開発、情報処理サービス(BPO等)などを手掛ける「情報サービス事業」と、コンビニでの払込票決済サービスや国際送金サービスなどを手掛ける「収納代行サービス」の2本柱体制となっている。

 2014年12月期決算は増収増益となり売上高、利益ともに過去最高を記録して着地した。利益面では計画対比でも上回った。一方売上高は計画対比では若干未達となった。決算の数値自体は非常に良好なものではあったが、事業部門別の内訳の計画との差異や、個々の事業分野ごとで表面化してきた事業環境の変化の中には、今後を見据えたときに看過できないようなものも出てきており、同社自身、2014年度の好決算を手放しで喜ぶのではなく、改めて今後の見通しについて気を引き締めているという状況だ。

 同社のそうした危機感の1つの表れが、中期計画の業績目標の引き下げだ。同社は毎年、向こう3ヶ年の業績計画をローリングして見直しているが、今回、2015年度~2017年度業績目標について、大まかに言って1年先送りした形での修正を行った。弊社では、この修正の内容について、同社の事業戦略や競争力に大きな変化があったわけではなく、これまでの業績計画に多分に含まれていた「努力目標」的な色彩を取り除き、足元の実態に合わせて、より現実性の高い計画に見直した結果であり、懸念は不要と考えている。

Check Point

●15/12期は2ケタ増収計画、投資織り込み利益面は慎重な予想
●実績を踏まえて中計目標を修正、需要や競争力に悲観的変化なし
●株主還元に積極的で増配により配当性向水準を維持、優待制度も設定

2014年12月期決算と主要トピックス

情報サービス、収納代行とも好調推移で増収増益に

(1)決算の詳細

 同社の2014年12月期決算は、売上高26,494百万円(前期比7.9%増)、営業利益1,154百万円(同13.6%増)、経常利益1,163百万円(同13.8%増)、当期利益685百万円(同15.4%増)となり、売上高、利益ともに過去最高を記録した。対計画では、売上高は27,000百万円の計画に506百万円の未達であったが、営業利益以下は18百万円~43百万円の超過達成となった。

 事業セグメント別では明暗が分かれた。表にあるように情報サービス部門は売上高、営業利益ともに計画を上回ったが、収納代行サービス部門は計画を下回っての着地となった。

 情報サービス部門の詳細内訳を見ると、3つのサブセグメントのうち、SI・ソフト開発は計画比で253百万円売上高が未達だったが、これは計画が強気すぎた結果であると弊社ではみている。情報処理は前年比、計画比ともに順調に増収となった。後述するBPOなど、地味ながらも同社の強みを出しやすい事業領域で、着実に成果が出た結果というのが弊社の理解だ。商品販売は対計画では超過達成となったが前年比では減収となった。これは前期にあった大型案件(医療機関向けシステム)が今期はなくなったことによる反動減である。

 収納代行サービス部門の詳細内訳では、主力の払込票決済サービスが計画比で771百万円の未達となった。これは一部の通販事業者による合理化策の影響や、消費税駆け込み需要後の反動減が下期にも予想以上に長引いたためと説明されている。また、決済イノベーションも計画比125百万円の未達となった。ここは同社が注力する国際送金サービスを担っているサブセグメントだ。未達の要因の詳細は後述するが、コンプライアンス強化のために一部サービスの取扱店舗の拡大が思うように進まなかったことが主因だ。