本記事は3月10日付フィスコ企業調査レポート(ダイナミック)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之

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2015年12月期は業績飛躍に向けた基礎固めの年に

 ダイナック<2675>はサントリーグループの中の外食事業関連の中核子会社である。「食の楽しさをダイナミックにクリエイトする」という企業理念の下、新和食の「響」「燦」、鳥料理の「鳥どり」、英国風パブ「ザ・ローズ&クラウン」、海鮮居酒屋「魚盛」などを展開するほか、ゴルフ場や文化施設、リゾート施設などのレストラン受託運営を手掛けている。

 外食産業の業績は、短期的には天候や経済動向の影響を受けやすいことは否定できない。しかし同社は、骨太の収益構造を構築するため、中期経営方針における重点施策として以下の4つのポイントに注力している。すなわち、(1)受託ビジネスの拡大、(2)高付加価値業態の強化、(3)基盤となる機能・サービスの革新、そして(4)強みの源泉のブラッシュアップ、の4点だ。2015年12月期は現行の3ヶ年中期経営計画の最終年に当たるため、以上の4点の重点施策を着実に遂行し、2016年12月期からの次期中期経営計画における一層の業績飛躍に向けた基礎固めの年としたい考えだ。

 2014年12月期決算は、天候不順や円安による食材費や光熱費の高騰などの影響で苦戦したものの、3期連続の増収増益を達成した。2015年12月期は、天候が通年どおりであれば、増収増益のベースができることになる。マイナス要素としては食材費や労務費の上昇が懸念されるが、同社は社内努力でマイナス要素を吸収できると自信を見せている。最も重要なトップライングロースは、同社の新規出店・業態転換戦略によるところが大きいが、同社は全体で18店の新規出店、3店の業態転換、5店の閉店をそれぞれ計画している。出店数はさらに増加する可能性があるため収益の上積みも期待できる。

 株主還元について同社では、配当による還元を基本方針として年間10円の配当を行っている(2014年12月期実績、2015年12月期予想、ともに)。これに加え同社では、株主優待制度も実施しており、所有株式数に応じて食事券またはお米(コシヒカリ)を株主に贈呈している。

Check Point

●高付加価値業態の強化・シフト加速のもと新規店舗を出店
●2014年12月期は天候不順、食材原価上昇が影響も増収増益に
●2015年12月期は引き続き積極出店・業態転換を計画

会社概要

異なる業態の店舗を次々と出店し多業態型の発展を遂げる

(1)沿革

 同社は1958年に(株)新宿東京会館として設立された後、1979年2月にサントリーの100%子会社となった。1988年に(株)サントリーレストランシステムを吸収合併して商号を現社名に変更して以来、サントリーグループの外食事業の中核子会社として発展を遂げてきた。

 店舗展開として「響」や「燦」といった和食レストラン、鳥料理の「鳥どり」、英国風パブの「ザ・ローズ&クラウン」など、異なる業態の店舗を次々と出店し、多業態型の発展を遂げてきた。最近では近畿大学による完全養殖クロマグロを扱う「近畿大学水産研究所」の業務運営を受託したことが話題となった。

 株式市場には、2000年10月に大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現東証JASDAQ)に上場した。その後2006年11月に東京証券取引所第2部に市場替え し、現在に至っている。