(2015年3月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

イエメン大統領派の軍部隊、アデンの空港を奪還

米国はイエメンでのサウジアラビア主導の軍事作戦を支持し、イランの利益を抑制している(写真はイエメン南部アデン近郊の空軍基地で戦車に乗る、イスラム教シーア派系の武装組織フーシ派に反対する地元部族などの戦闘員からなる連合部隊のメンバー)〔AFPBB News

 米国とイランの核協議が合意に近づきつつあり、数十年に及ぶイランと西側諸国との疎遠な関係に終止符が打たれる可能性が出てきている中、米国のオバマ政権は中東におけるイランの影響力を大慌てで抑制しようとしている。

 この矛盾した行動は、中東全域に広がったカオス(混沌)の産物だ。

 米国はスンニ派とシーア派に分断された中東で、あっけにとられてしまうほど複雑に入り組んだ危機に直面しており、一方の国ではスンニ派を支持しながら他方の国ではシーア派を支援するという状況に置かれているのだ。

 この1週間、米国はイエメンでのサウジアラビア主導の軍事作戦を支持し、イランのティクリートを巡る戦いでは戦闘に自ら介入した。スイスに集まった外交官たちが核協議で詰めの交渉を行っているまさにその時に、イランの利益を抑制する行動に出た格好だ。

 イランに対するこの新たな圧力は大きな戦略の一環なのか、それとも急展開した危機への対応でしかなかったのかは、まだ定かでない。ただ、交渉の背後に隠れた1つの力学を反映した動きではある。

 もし核協議で合意が成立すれば、この核外交がイランによる中東支配の先駆けになることを恐れる中東諸国から、米国はイランに立ち向かえという強い圧力を受けることになるのだ。

イランとの核協議を進める傍らで対抗姿勢

 米国は、深刻化するイエメンの内戦ではイランに対抗する立場を取っているものの、イラクと「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」との戦いではイランとともにイラク政府を支持して戦っている。

 さらにややこしいことに、米国と中東における最も親しい同盟国――イスラエルとエジプト――との関係はかなり緊迫したものになっている。アフガニスタンについてもバラク・オバマ大統領は先週、同国の安定維持に資するためには駐留する兵士の数を向こう18カ月間、これまでの想定より増やす必要があることを認めざるを得なかった。