(英エコノミスト誌 2015年3月21日号)

本土からの買い物客に対する抗議は、より重大な問題を浮き彫りにしている。

「青空は誰のおかげ」、香港で論争

昨年は人口700万人の香港に、中国本土から4700万人の訪問者が押し寄せた〔AFPBB News

 昨年後半、何千人もの民主派デモ隊が、北京の中央政府の干渉を受けずに2017年に香港政府トップの行政長官を選ぶ権利を求めて香港の街頭に繰り出した。この数週間で抗議活動が再燃している。今回はかなり規模が小さいが、より暴力的で、昨年と同様に本土からの侵略に対する憤怒によってかき立てられている。

 問題になっているのは、香港で買ったものを地元の闇市場で転売するために訪問する本土の中国人の群衆だ。これは香港で「パラレルトレーディング(並行交易)」と呼ばれている商売だ。

 以前よりひどい不満の爆発は買い物に対するものにとどまらない。こうした抗議は、本土に対する敵意が深まり、香港都心を越えて広がっていることを示唆している。これが境界線の双方の当局者の間で不安を引き起こしている。

 2002年、英国による植民地支配が終わった5年後に、香港政府は中国人旅行者の人数制限を廃止した。2009年以降、香港と隣接する深圳市の住民は、好きなだけ境界線を越えられるようになった。

香港になだれ込む「イナゴ」の大群衆に怒り爆発

 香港当局者らは、低迷していた香港経済が復活を遂げたのは、この制限緩和のおかげだと考えている。だが、多くの香港人は自分たちが圧倒されていると感じている。

 2000年以降、中国人訪問者の数は10倍に増えた。人口700万人の香港にあって、昨年の訪問者は4700万人と、2013年から16.5%増加した。2020年には本土からの訪問者が1億人に上ると言う者もいる。

 しかし、訪問者1人当たりの平均支出は2009年当時よりも減っている。中国の反腐敗運動が贅沢品に対する需要を押し潰した。昨年12月には、そうした高級品の売り上げが前年比で16.3%減少した。

 香港人にとっては迷惑なことに、新しいタイプの買い物客が現れた。香港の0%の消費税(中国本土の税率は17%)を利用し、家庭用の生活必需品を買うためにやって来る人々だ。組織化されたチームに参加する人もいて、各人がスーツケースいっぱいの品物を持ち帰り、境界線の反対側の仲介業者に引き渡している。