先週の中国株式市場
―香港株 大幅反発 中国政策期待と米国早期利上げ懸念後退で相場の地合いが改善―


<先週の概況>

先週の中国株式市場は大幅に上昇しました。ハンセン指数は2.3%上昇し、2万4,375ポイントと心理的な節目である2万4,000ポイントを回復しました。また、上海総合指数は7.2%上昇となり、3,617ポイントで引けました。

中国の金融政策や国有企業改革が期待されるなか、市場予想よりやや緩和的なFOMCの政策決定を受けて、米国の早期利上げ懸念が後退し、投資家の心理が改善しました。


中国株式市場バリュエーション




業種別リターン



香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

中国平安保険(ピンアン・インシュアランス)は好決算で大きく買われ、週間で10%を超える上昇となりました。また、国際的な原油安の流れを受けて、国泰航空 (キャセイ・パシフィック・エアウェイズ)は週間で6%上げました。

<下落>

一方、19日に中期経営計画の達成が困難になったと発表した香港商社の利豊(リー&ファン)は大きく売られ、週間で6.5%下落しました。中国当局が朝方に発表した中国の2月の主要70都市の新築住宅価格で、値下がりした都市数が1月に比べて増えたことが嫌気され、恒隆地産(ハンルン・プロパティーズ)や恒基兆業地産(ヘンダーソン・ランド・デベロップメント)など不動産株は揃って軟調推移となりました。

先週発表された主な経済指標

特に重要な経済指標の発表はありません。

今後発表される主な経済指標

3月24日 HSBC中国製造業PMI 3月 市場予想 50.4 前月 50.7

3月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が日本時間23日10時45分頃発表される予定です。3月のHSBC中国製造業PMIは50.4が予想されています。


マーケットビュー
―ハンセン指数、買い先行か 企業決算やHSBC中国製造業PMIに注目―

先週の香港市場では中国の金融政策や国有企業改革が期待されるなか、市場予想よりやや緩和的なFOMCの政策発表を受けて、米国の早期利上げへの懸念が後退し、投資家の心理が改善しました。こうしたなか、先週のハンセン指数は週間で2.3%反発し、心理的な節目である2万4,000ポイントを回復しました。テクニカルを的にみると、先週200日移動平均線や100日移動平均線などを相次いで回復したことに加え、過去数か月間揉み合ってきたレンジの上限(昨年11月の高値2万4,313ポイント)も一気に突破し、先高感を示しています。

先週末の欧米株高(特に英FTSE100株価指数が史上初めて節目の7,000ポイントを上回ったこと)の流れが好感され、投資家のセンチメントもがFOMCの政策決定で改善したこともあって、今週のハンセン指数は買い先行となりそうです。

また、先週のハンセン指数は米国の金融政策の決定に牽引されましたが、今週は決算発表が佳境を迎えるなか好業績銘柄への個別物色の動きが引き続き相場の支えとなりそうです。特に中国海外発展(チャイナ・オーバーシー・ランド・アンド・インベストメント)、中国人寿保険(チャイナライフインシュアランス)、中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)、中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国工商銀行等の中国関連の大手企業決算が相次いで発表し、注目が集まりそうです。ハンセン指数の動きもこれらの企業決算をにらみながらの展開となり、今週はどこまで上値を伸ばせるかがポイントとなりそうです。なお、24日に発表されるHSBC中国製造業PMIも注目です。

フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)

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