(英エコノミスト誌 2015年3月21日号)

戦時賠償に言及し、ドイツの資産を没収すると脅しても、ギリシャの経済的苦境を解決することにはならない。

ギリシャとドイツの首相が初顔合わせ、EU首脳会議 一致点を模索

EU最強の指導者とEU最大の問題児〔AFPBB News

 ギリシャの危機は、単なる経済的混乱ではない。ますます地政学的な混乱にもなりつつある。今年1月の総選挙後に急進左派連合(SYRIZA)が政権の座に就き、ギリシャ首相となったアレクシス・チプラス氏は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に取り入ったり、ドイツに戦時賠償を求めたりするなど、乱暴な政治的レバーを引っ張るようになった。それがどういうわけか他のユーロ圏諸国から譲歩を引き出すことになると考えてのことだ。

 こうした脅迫まがいの言動は、欧州の政治家を激怒させている。チプラス氏には、ドイツのアンゲラ・メルケル首相との2度の会合で事態を落ち着かせる機会があった。

 最初は先日ブリュッセルで行われた欧州連合(EU)首脳会議の傍らで行われた会合、2度目は3月23日にベルリンで行われる会合だ。

 2度目の会合は、EU最強の指導者とEU最大の問題児との間の厳しい協議になる見通しだ。チプラス氏は、恨みをかき立てる代わりに、目の前の喫緊の課題に力を注ぐべきだ。すなわち、取引を成立させることだ。

 ギリシャ政府は目下、むしろ扇情的な政治的愚弄という球を打ち上げることを好んでいるように見える。

ギリシャ政府が繰り返してきた脅し

 ギリシャの防衛相は、欧州を、ジハード主義者を含む移民であふれさせると脅かした。法相は、ドイツに1600億ユーロ(1700億ドル)の戦時賠償を支払うよう求め、賠償金が支払われなければ、ギリシャはゲーテ・インスティトゥートの建物、さらにはドイツ人の別荘をも没収するかもしれないと警告している。

 そしてチプラス氏は、プーチン大統領と会うためのモスクワ訪問予定を4月上旬に繰り上げた。チプラス氏が期待するメッセージは、乱暴であると同時に明々白々だ。プーチン氏は、対ロシア制裁に反感を持つ仲間の正教会国家を喜んで助けるかもしれないというメッセージである。