(2015年3月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ギリシャのユーロ離脱はハルマゲドンか、損失額80兆円の試算も

ギリシャがユーロ圏から離脱し、ドラクマを復活させる日は来るのか〔AFPBB News

 経済に対するドイツ人の無理解と外交に対するギリシャ人の無理解が出合っても良い結果は生まれない。

 ギリシャのある閣僚は先週、イスラム教徒の難民をドイツに大量流入させてやると脅しをかけた。

 片やドイツでは、ギリシャがアクシデントで、すなわちきちんとした計画に沿うのではなく偶発的にユーロ圏から離脱する「Grexident(グリグジデント)」についての議論が再び行われている。

 また、ギリシャのアレクシス・チプラス首相は、ドイツは第2次世界大戦の賠償金を支払うべきだという主張を融資合意の延長に関する今日の議論と結びつけた。

 賠償金の請求それ自体はいい加減なものではない。ギリシャ政府の言い分にも一理あると考える法律家はドイツにも存在する。しかし、この2つを結びつけるのは政治的にはむちゃくちゃな話だ。ここまで来ると、よくある雑音が飛び交っているだけだと片付けることはできない。どちらも相手を信頼できなくなっているのだ。

この2週間で劇的に高まったグリグジットの可能性

 こうした動きから筆者は、ギリシャのユーロ離脱の可能性は過去2週間で劇的に高まったと考えている。今後数日で双方が表現を和らげていく可能性はあるものの、先月の金融支援延長合意の条件について債権国側が寛大になるとは筆者には思えない。また、ギリシャ政府がこの条件を満たすとも思えない。

 ギリシャが支払い不能の状態に陥るまであと何日、あるいは何週間なのかは誰にも分からないため、ユーロ圏から突然離脱するリスクがあることは明白だ。グリグジットに至らない可能性もあるものの、今はこれに備えるべきである。

 合理的にものを考える人なら、グリグジットを望んだりはしない。もしグリグジットになったら、欧州連合(EU)の戦略地政学的な影響力は低下する。経済の面でも、通貨同盟は実は固定為替相場制度の強化版にすぎないという真実が暴かれてしまう。

 数多くの金融取引がすぐにデフォルト(債務不履行)になる。世界金融システムがこれにどう対処するかは定かでない。ユーロ圏で始まったばかりの景気回復もリスクにさらされるだろう。