先週の米国株式市場
―冴えない経済指標やドル高懸念の広がりで続落―

 

<先週の概況>

先週の米国株式市場は主要3指数が揃って下落し、ダウ平均とS&P500は3週続落となりました。

小売売上高やミシガン大学消費者信頼感指数といった個人消費関連の経済指標が冴えない内容に終わったことに加え、ドル高がグローバル企業の収益を圧迫するとの懸念が広がりました。

 

米国株式市場バリュエーション

 

 

 

業種別リターン

 

 

ダウ平均採用銘柄 週間騰落率ランキング

 

 

<上昇>

ダウ平均採用の30銘柄中上昇は10銘柄、下落が20銘柄となりました。ウォルト・ディズニー(DIS)は大ヒットした「アナと雪の女王」の続編を制作することを発表、週間で2.5%高となり一時史上最高値を更新しました。ゴールドマン・サックス(GS)やJPモルガン(JPM)は資本計画がFRBに承認されたことが好感され堅調でした。

<下落>

ドル高による収益圧迫懸念からインテル(INTC)、コカ・コーラ(KO)、シスコシステムズ(CSCO)、IBM(IBM)などのグローバル企業の軟調さが目立ちました。

先週発表された主な経済指標

小売売上高(自動車ガソリン除く前月比)2月 -0.2% 市場予想 +0.3% 前月 -0.1%

12日に発表された2月の小売売上高は変動の大きい自動車とガソリンを除いた売上高が、前月比0.2%減と0.3%増の市場予想を大きく下回りました。あわせて1月分は0.2%増から0.1%減に下方修正されています。

前月分の下方修正によって、自動車とガソリンを除いた小売売上高は2ヵ月連続で前月比マイナスとなりました。同売上高が2ヵ月連続でマイナスとなったのは2009年6月・7月以来約5年半振りで、個人消費が弱含んでいるのは気がかりです。

 

今後発表される主な経済指標

3月18日 米連邦公開市場委員会(FOMC)結果発表

3月17日から18日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。今回のFOMCで最大の注目ポイントは、金融政策の正常化(=利上げ)について「忍耐強くいられる」としている現在のメッセージを維持するのか、修正するのかという点です。

イエレンFRB議長は「忍耐強く」という表現を削除したからといってそれが必ずしもその後数回の会合で利上げが行なわれるという意味とはならないと発言しています。ただ、そうは言ってももし文言が削除された場合マーケットは「利上げの早期化」を意識すると考えられます。

足元の米国株式市場は「冴えない経済指標」に加えて「ドル高による企業収益圧迫懸念」を重石として調整しているだけに、利上げの早期化が意識されてさらにドル高が進む展開になると、株価はもう一段の調整を見込んでおく必要がありそうです。

マーケットビュー
―FOMCの発表内容次第で大きく異なる展開を予想―

先週のマーケットビューでは、ダウ平均の100日移動平均線がサポートとなるかどうか注目と記しましたが、幸いにもダウ平均は100日移動平均線にタッチしたところでいったん反発したものの、戻りは鈍く1万8000ドルを割り込んだ水準で停滞しています。

先週発表された小売売上高の結果も冴えない内容で、米国の経済指標は雇用を除いて冴えない内容の発表が続いています。以前から記しているように、このようなファンダメンタルズの下で米国株が最高値を更新していくような展開は考えづらいと思われますが、短期的な反発の鍵はやはり今週発表されるFOMCでしょう。

まず、FOMCで「忍耐強く」という表現が削除された場合、イエレン議長の記者会見の内容にもよりますが、6月の利上げが強く意識され、ドル高・株安といった方向性の継続が考えられます。一方、「忍耐強く」が維持された場合は利上げが7月または9月に後ずれするとの見方が強まり、一定の株価下支え効果が出てくると見込んでいます。

市場では「忍耐強く」が削除されるとの見方がやや優勢のようです。非常に微妙な判断ですが、筆者も6月利上げへの道を残すために、「忍耐強く」が削除されるのではないかと考えています。その場合、ダウ平均は次のサポート目処である200日移動平均のある1万7300ドルといったところまで調整の可能性があるのではないかと考えています。

フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕

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