(英エコノミスト誌 2015年3月14日号)

ウラジーミル・プーチン氏とチェチェンの盟友との協定が、突如、脆くなったように見える。

チェチェン次期大統領に親ロシア派のカディロフ氏 - ロシア

ラムザン・カディロフ氏が指導者の座に就いてから、チェチェン共和国は事実上、ロシアから切り離されたイスラム国家となっている〔AFPBB News

 2月27日にリベラル派の政治家、ボリス・ネムツォフ氏を殺害した犯人たちは、逮捕されるとは思っていなかった。それは彼らのふてぶてしさから明らかだった。

 犯人グループは、モスクワ中心部でネムツォフ氏を背後から銃撃した後、市の中心部から離れるために川を渡ることはなかった。

 その代わり、クリムリン(大統領府)をぐるりと一周し、ロシアの議会ドゥーマを通り過ぎ、半分が歩行者用になっている明るい通りに入った。逃走用の車を燃やすことさえなかった。

 このようなふてぶてしい行動は、銃撃犯がチェチェンの殺し屋かもしれないという疑いを抱かせた。これまでロシアのウラジーミル・プーチン大統領の大事な友人だったチェチェンのラムザン・カディロフ首長のために働くような連中だ。

 一部の人は今、プーチン氏とカディロフ氏との間の一見強固に見える協定が、プーチン氏にとって代償が大き過ぎるものになっているのではないかと思っている。

殺害、誘拐、拷問・・・やりたい放題

 元軍閥のカディロフ氏は、プーチン氏によって無名の存在から引き立てられ、暗殺された父親の後を継ぎ、かつてロシアに反抗的だったチェチェン共和国の指導者を任された。

 プーチン氏は、カディロフ氏がロシアの法律を無視し、好きなように恨みを晴らすのを許した。過去10年間で、チェチェンは事実上、カディロフ氏の支配下にある独立したイスラム国家になった。カディロフ氏は総勢2万人の私設軍隊を抱え、独自の(非公式な)税制と独自の宗教法を敷いている。

 ロシア最強の地域指導者として、カディロフ氏はその影響力を国中に広げている。同氏の警護員はモスクワで特別の地位を与えられている。プーチン氏の出身母体のロシア連邦保安局(FSB)の将校たちが、誘拐、拷問、強奪の容疑でカディロフ氏の部下の一団をモスクワで逮捕した後、容疑者たちは無罪放免になった。