(英エコノミスト誌 2015年2月28日号)

約束されたガス黄金時代が到来しつつある。だが、生産者よりずっと先に消費者が利益を得ている。

西オーストラリア州沖合のシェルの浮体式海洋天然ガス液化プラント(写真:Shell)

 昔々、石油が高価でエネルギー源が乏しく見えた世界で、化石燃料輸入国のシンクタンクである国際エネルギー機関(IEA)が「ガスの黄金時代」の到来を告げる特別報告書をまとめた。それは2011年のことだった。

 報告書は、主に新興国と発電から生じる需要の急増によって、ガスが2030年までに石炭に取って代わる可能性があると記していた。

巨大プロジェクトが続々完成

 大手エネルギー企業はこの楽観論を共有していた。高い価格と東アジア――特に中国と日本――での需要の拡大に促され、エネルギー大手は一斉に、液化天然ガス(LNG)を生産するためにオーストラリアやパプアニューギニアなどで巨大プロジェクトに乗り出した。

 海洋掘削による生産もあった。また、オーストラリア・クイーンズランド州で英BGグループが手掛ける200億ドル規模のプロジェクトの場合は、炭層ガスからLNGを生産する事業だった。

 シェールブームのおかげでガスがあふれかえっている米国は、LNGの輸出を始められるよう、もともとLNG輸入のために建設された沿岸部のターミナルを改造し始めた。

 だが、予想外のことが起こった。最も環境を汚染する化石燃料として嫌われていた石炭が、特に欧州で予想外の再興を遂げ、発電のエネルギー資源としてガスを追い抜いたのだ。