(英エコノミスト誌 2015年2月28日号)

英国は若い低所得者のカネを使って高齢の金持ちに補助金を出すのをやめるべきだ。

 保守党率いる英国政府は、ロンドン大空襲の精神を呼び起こし、緊縮政策に関しては英国民は一蓮托生だと語った。

 しかし、英国の戦時中の試練の影響が残る時代に生まれた世代は、緊縮を概ね免れている。

 英国の基礎年金額は、経済状況にかかわらず寛大な増額を保証する計算式の下で、2010年以降、16%増加した(実質ベースで5%の増額)。

厚遇される年金生活者

 また、年金受給者は、無料のテレビ料視聴契約や無料のバス乗車券、冬季の燃料費補助を享受している。政府は年金受給者の貯蓄にまで補助金を出しており、65歳以上の人のみを対象に、利率4%――政府の借り入れコストの5倍以上の水準――の債券を売っている。

 そして、もし保守党が5月の総選挙で政権与党の座を維持したら、高齢者はさらに手厚い援助を期待できるだろう。保守党のデビッド・キャメロン首相は2月23日、「この人たちが戦争を戦い、数々の不況を切り抜け、この国を今日のような素晴らしい国にした」ことを理由に、高齢者への補助金を守ることを約束した。

 この主張は経済的に無分別で、道徳的に弁護しようがない。平均的な英国家計では、連立政権による増税と支出削減の結果として、過去5年間で世帯収入が約500ポンド減った。

 年金受給者2人から成る平均的な世帯では、収入はたった23ポンドしか減っていない。だが、そうした世帯の構成員は、保守党が喧伝するような「寒さに震え、それでも文句を言わない退役軍人」とはほど遠く、むしろ1960年代という楽な時代に成年を迎えた人たちである場合が多い。

 手厚い年金と数十年にわたる住宅価格の高騰に支えられ、最も裕福な上位20%の年金受給者世帯は、英国の全世帯平均の軽く2倍を超える平均収入を謳歌している。そんな幸運な老人たちにとっては、冬季の燃料費補助金は、暖房をつける誘引というよりは、いいワインを飲む誘いだ。