(2015年3月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

欧州中銀、債務危機国の国債買い入れへ 1~3年債を無制限に

欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁〔AFPBB News

 欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は、まさに言葉だけで債券市場を幻惑した。では、総裁が実際に行動したら一体何が起こるのだろうか。

 ドラギ氏が1月22日に量的緩和(QE)の導入を発表したことを受け、政府の借り入れコストはさらに大きく低下した。

 債券価格と反対の方向に動く債券利回りは、年限が6年以下のドイツ国債すべてでマイナス圏に突入している。また、スペインとイタリアの10年物国債利回りは、ドイツの10年物国債のそれよりも速いペースで低下している。

今週の政策理事会が転換点になる可能性

 キプロスで今週開かれるECBの政策理事会では、今月のQE実施のお膳立てがなされることになる。

 ドラギ氏はこれまでQEの詳細を語っておらず、資産の買い入れを何日に始めるかも明らかにしていないが、これにはもっともな理由がある。ECBが債券をどのように買い入れるかによって、債券利回りが次に向かう方向が概ね決まるからだ。

 さらに、債券利回りの方向性が、ドラギ氏の野心的なプログラムが成功し、ユーロ圏を危険なデフレの瀬戸際から引き戻してくれそうだと見なされるかどうかを判断するうえで重要な意味を持つ可能性があるのだ。

 キプロスの会合は1つの転換点になるかもしれない。米国の経験に照らして言えば、QEが始まれば債券利回りは上昇する公算が大きい。QEが経済成長率と物価上昇率を引き上げると予想されれば、債券利回りは必然的に上昇するだろう。

 ユーロ圏の経済指標はこのところ改善しており、相場に織り込まれている将来のインフレ率も上昇している。

 「インフレ期待が上昇する条件が整いつつある」。BNPパリバの金利戦略担当グローバルヘッド、ローレンス・マトキン氏はそう指摘する。また、金利は今後上昇すると投資家が考えれば、最近手にした含み益を実現する動きが広がり、金利上昇という予想が自ずと現実のものになる可能性もある。