(2015年3月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国各地で最低賃金引き上げの動き、労働力不足やストで

中国で労働争議が増えており、共産党は警戒している〔AFPBB News

 中国で唯一の政府公認労働組合の最高幹部が、中国国内の労働運動に対する「敵対的な外国勢力」の関与疑惑について警告し、労働者の権利擁護団体の間で不安を引き起こしている。

 中華全国総工会の李玉賦・副主席の発言が出たのは、非政府組織(NGO)が、NGOの監視を強化して活動を困難にすることを目指す新法に備えている時のことだ。新法の草案は公表されていない。

 政府関係者と支配政党の共産党員が読む国営雑誌「瞭望」の最新号のインタビューで、李氏は「敵対的な外国勢力が浸透工作を強めている」「彼らは一部の違法な『権利』団体や活動家の助けを借りて、労働者階級と労働組合の結束を崩そうとしている」と述べた。

 同氏は、3月5日の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)開幕を数日後に控えてそう語っていた。年に1度開催される全人代では、外国政府が多方面で中国に突きつけるとされる脅威が繰り返されるのが常だ。李氏は総工会内の党委員会書記であり、総工会で最も力を持つ幹部に当たる。以前は中国公安部の高官を務めていた。

中国唯一の政府公認労組への反発

 労働活動家は李氏の発言を批判した。「我々は『敵対的な勢力』ではない」。中国南部の広東省で労働者の権利擁護団体を運営する曽飛洋氏はこう話す。「総工会は名ばかりの労組だ。その仕事をせずに、実際に労働者を代表して働く社会組織を批判している。これは無責任だ」

 やはり広東省に本拠を構える活動家の張治儒氏は、労働者は総工会に「うんざり」していると言う。「総工会は労働者のために何も行っておらず、雇用主の共犯者になった。労働者が総工会から距離を置くようになり、総工会を信用しないのは、至極当然のことだ」

 中国のツイッターに相当する「微博(ウェイボ)」に投稿された李氏の発言には5000件以上のコメントがつき、その大半が痛烈な批判だった。中国政府はかねて自国労働者が持つ潜在力を警戒し、すべての職場の労組に総工会への所属を義務づけている。