(英エコノミスト誌 2015年2月28日号)

スマートフォンは世界のいたるところに広がり、人々を夢中にさせ、大きな変革を起こす力を持っている。

 地球にスマートフォンの夜明けが訪れたのは、2007年1月のこと。米アップルの当時のCEO(最高経営責任者)、故スティーブ・ジョブズ氏が、講演にうっとりと耳を傾けるアップル信奉者たちの前で、プラスチックと金属とシリコンでできた、キットカットとさほど変わらない大きさの板状の装置を掲げて見せたのが、すべての始まりだった。

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2020年までには、成人の80%がスマホを持つと見られている〔AFPBB News

 「これがすべてを変える」とジョブズ氏は約束した。

 その言葉に限っては、誇張ではなかった。それからわずか8年後の今、アップルの「iPhone(アイフォーン)」は、21世紀初頭の決定的な技術を体現している。

 スマホが重要である理由の1つは、その遍在性にある。スマホは、先行した単純な携帯電話をしのぎ、史上最も急速に売れている電子機器となった。販売台数は、すでにパソコンの4倍だ。現在、成人人口のおよそ半数がスマホを所有している。2020年までには、80%が持つと見込まれる。

 さらに、スマホは日々の生活のあらゆる面に入り込んでいる。平均的な米国人は、毎日2時間以上、スマホにかかりきりになっている。英国のティーンエイジャーに、なくなったら最も困るメディアを訊ねると、テレビやパソコン、ゲーム機ではなく、モバイル端末を選ぶ。

 スマホ所有者の80%近くは、起床してから15分以内にメールやニュースなどのサービスをチェックしている。およそ10%の人は、セックスの最中にスマホを使ったことがあると認めている。

 ベッドルームでの使用は、始まりにすぎない。スマホは、単なる便利な通信手段ではない。自動車が単なる車輪付きエンジンではなく、時計が時を刻む手段にとどまらないのと同じことだ。

人類を変えるスマートフォン

 自動車や時計の出現が人々の生活を変えたのと同じように、現代のスマホも、生活を豊かなものにし、産業全体の形を変え、社会を一変させようとしている。そしてその変化は、「スナップチャット(Snapchat)」に興じるティーンエイジャーたちが想像だにしない形で起きようとしている。

 スマホが社会を変容させる力は、そのサイズと接続性から生じる。手のひらサイズのスマホは、本当の意味で「パーソナルコンピューター」と呼べる史上初めての機器だ。

 スマホは、旧世代のスーパーコンピューターと同等の処理能力を備えている。最もベーシックなモデルでさえ、利用できる演算能力は、1969年の月面着陸時に米航空宇宙局(NASA)が有していた演算能力を上回る。そして、その処理能力をごく普通の対人交流に応用するのだ。