(2015年2月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

行ってみたい世界の電波塔ベスト8

中国は信用中毒の次の犠牲者になるのか(写真は上海の夜景)〔AFPBB News

 バランスシートは重要だ。これこそが、世界経済に影響を及ぼしてきた先の金融危機の最大の教訓だ。

 バランスシートの変化は経済のパフォーマンスを左右する。楽観主義と悲観主義の自己成就的なサイクルの中で貸し出しが変動するためだ。

 世界経済はすでに信用中毒に冒されている。次の犠牲者は中国かもしれない。

世界経済のバランスシートに関する4つの疑問

 今日の世界経済のバランスシートについて考えていくと、4つの疑問が浮上する。脆弱性を引き起こすものは何か。脆弱性がいま顕在化しているのはどこか。世界の国々は以前の債務危機の遺産にどう対処しているのか。世界経済は新たな脆弱性に対処できるのか、という疑問だ。

 では、脆弱性の発生源から考えてみよう。金融セクターが統制されていない国々では、公的セクターの分別のなさが危機の原動力になることよりも、民間セクターの軽率さが原動力になることの方がはるかに多い。

 信用供与ブームは、不動産価格の上昇と不動産向け貸し出しの拡大によって生じることが多く、公的セクターのバランスシートが劣化するのは、危機が生じた後であるのが普通だ。

 この民間セクターのやり過ぎと公的セクターの借り入れとのつながりを認識しない人がいるとしたら、それは認識できないふりをしているにすぎない。

 コンサルティング会社のマッキンゼーがまとめた債務とデレバレッジ(債務削減)に関する調査リポートの改訂版によれば、米国、英国、スペイン、アイルランド、ポルトガルの5カ国の家計部門では、2000年から2007年にかけて所得に対する債務の比率が3分の1以上も大きくなっていた。5カ国はすべて、その後債務危機に見舞われている。

 実際、ほかの危機を見ても、発生する前に民間セクターへの貸し出しが大幅に増加していたケースは多い。1982年のチリの危機は、両者がつながっていることの重要な一例だ。