(英エコノミスト誌 2015年2月21日号)

インドは今、世界で最もダイナミックな経済大国になる、またとないチャンスを手にしている。

インド首相、自分の名前入ったスーツ着用 ネット上では失笑

インドの経済改革を掲げ、政権を握ったナレンドラ・モディ首相〔AFPBB News

 新興国はかつて世界経済の希望の光だったが、いまや暗闇の源となることの方が多い。

 中国経済は減速している。ブラジルはスタグフレーションにはまりこんでいる。ロシア経済は、欧米の制裁と原油価格の急落に襲われ、景気後退に陥っている。南アフリカは非効率と腐敗に悩まされている。

 失望だらけの新興国の中で、1つだけ抜きんでている大国がある。インドである。

 うまく飛び立つことさえできれば、インドは世界屈指の経済大国になるだろう。だが、そのためには、非生産的な政策の遺産を振り払わなければならない。その務めは、アルン・ジェートリー財務相の肩にかかっている。ジェートリー財務相は2月28日に来年度予算案を提出する。昨年の総選挙により、官僚主義の打破と成長のてこ入れを負託された政権にとって、初めてとなる本格的な予算案だ。

 インドでは1991年7月に歴史的な予算が組まれ、インド経済を貿易、外国資本、競争に対して開放した。今のインドに必要なのは、それに匹敵する大きな何かだ。

エンジンを準備せよ

 インドには計り知れない望みがある。国民は起業家精神にあふれ、12億5000万人に上る総人口のおよそ半分は25歳未満だ。現在は貧しい国であるため、追い上げ成長の余地は大きい。2013年の国民1人当たり国内総生産(GDP、購買力平価ベース)は、中国が1万1900ドル、ブラジルが1万5000ドルだったのに対し、インドは5500ドルだった。

 インド経済は、州ごとに徴収される地方税により分断されているが、全国的な物品サービス税に対する超党派の支持が得られれば、本物の共通市場を生み出せるはずだ。インドには潜在力がある。これまで常に問題となってきたのは、その潜在的な力を解き放てるかどうかだった。

 楽観主義者たちが注目しているのは、2014年第4四半期のGDP成長率が前年同期比7.5%を記録し、中国をも上回った点だ。だが、多くの者が胡散臭いと考えるたった1つの数字だけでは、全く興奮する理由にはならない。それよりもはるかに重要なのは、インド経済の基盤が日増しに安定しつつあるように見えることだ。

 長年10%を超えていたインフレ率は、半分に低下している。経常収支の赤字は縮小し、ルピーは安定している。株式市場は好況だ。そして、コモディティー(商品)価格の下落は、石油の8割を輸入に頼るインドにとっては神の恵みだ。国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを何度か下方修正した際にも、インドは概ね引き下げを逃れた。