(2015年2月19日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 富士山のふもとにあるファナックの研究所。この秘密主義の研究所の壁には、通常の10倍の速さで針が進む時計がある。その狙いは、世界最大のロボットメーカーであるファナックの従業員に、市場投入のスピードの重要性を印象付けることだ。

 ファナックについて風変わりな点は、この時計だけではない。同社は情け容赦ないまでに集中した日本企業で、普通の企業というよりはカルト集団のように運営されている。

風変わりな超優良企業

ファナックの建物も車もみんな黄色(写真はウィキペディアより、筑波支店の様子)

 スタッフは黄色い制服を着ている。89歳のファナック創業者、稲葉清右衛門氏が好きな色だ。建物も黄色、敷地内を走るバスも黄色だ。

 訪問者は概して歓迎されない。半分以上が外国人である株主との対話は、素っ気ない四半期ごとの現状報告に限られている。

 もし愛情を示してもらっていないのだとしても、投資家は少なくとも、お金は見せてもらっている。

 アップルやサムスン、テスラのためにロボットを生産するファナックは、売上高の40%に上る営業利益を稼いでいる。460億ドルの市場価値を持つファナックは2015年3月期に純利益が前期比で67%増加し、1850億円に達すると予想している。同社の従業員数はわずか5500人で、従業員1人当たりの収益はゴールドマン・サックスより25%多い。

 こうした模範的な業績にもかかわらず、アクティビスト(もの言う株主)のダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンド、サード・ポイントは今月、ファナック株を取得していることを明らかにした。

サード・ポイントの要求

 同社は、ファナックは経営状態がよく、収益性が高いうえに、今後期待できる工業用ロボットの利用急増に便乗する格好の位置につけていることを認めている。

 だが、サード・ポイントはそれ以上のものを求めている。ファナックの株式の構造は「不合理」だと同社は述べた。ファナックは85億ドルという馬鹿げた量の現金を眠らせている。投資家に手元資金を還元すべきだというのだ。