(2015年2月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 彼らは香港で「イナゴ」として知られている。中国本土から百万人単位でやって来て、宝飾品から粉ミルクまであらゆるモノを大量に買い込む訪問者のことだ。

 香港の地元住民はかねて、買い物客が公共交通機関を混雑させ、店から人を締め出すと不満をこぼしていたが、何年もくすぶり続けてきた反感が次第に煮えたぎり、怒りに満ちた抗議行動に発展している。

急増する訪問客への不満、昨年の民主化デモで一気に噴出

 香港警察は15日、香港と中国本土を結ぶ鉄道沿いにある郊外のショッピングモールで起きたデモで6人の男性を逮捕した。あるデモ参加者は植民地時代の旗を振っていた。ほかの参加者は買い物客に向かって家に帰れと叫んでいた。

香港の民主派デモ、騒乱から一転し祝祭ムードに

昨年繰り広げられた民主化デモは、一時香港を機能停止状態に陥らせた〔AFPBB News

 本土の人たちに対する怒りの表明は、珍しいことではない。

 だが、選挙制度改革に関する政府計画に対して昨年起きた「オキュパイ・セントラル」抗議運動によってその勢いが増したようだ。昨年のデモは香港の活動を停止させた。

 デモ参加者はことあるごとに、香港をより中国らしくしようとする香港当局の取り組みへの不満を表明してきた。一部のケースでは、その怒りが本土からの訪問者への敵意に変わったように見える。本土からの訪問者の数は、2009年に複数回入国できる数次ビザが導入されてから急増している。

 「オキュパイ以来、怒りが煮えたぎっている」。最近のデモをいくつか見てきたジェームズ・バン氏はこう語る。「かなりひどいですよ・・・デモ参加者は人種差別主義者でもなければ恐ろしい人たちでもないけれど、彼らは自分たちが無視され、踏みつけられ、国を奪われたと感じている」

 新界屯門区の区議を務める何君堯氏は、怒りは理解できると話し、2003年には本土からの訪問者は数千人単位だったのに対し、昨年は5000万人近くに上ったと指摘する。これは人口700万人強の領土が吸収するには、とてつもなく大きな数字だ。「過去11年間でただならぬ増加が見られた」と同氏は言う。