本記事は1月30日付フィスコ企業調査レポート(健康コーポレーション)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 浅川 裕之

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RIZAP事業が快進撃で収益の柱に、買収事業も順調に推移

 健康コーポレーション<2928>は通販事業からスタートし、「健康」を切り口にM&Aを積極的に活用しながら事業領域を拡大させてきた。現状は、美容・健康関連(健康食品の通信販売とパーソナル・トレーニングジムの「RIZAP(ライザップ)」)、アパレル関連、住関連ライフスタイル、エンターテイメントの4事業部門を擁している。

 収益の柱に成長したRIZAP事業は、快進撃が続いている。2015年3月期の第2四半期後半には月間利用者7,000人、月商900百万円の大台を突破した。下期にはこれまでボトルネックとなっていたトレーナー不足が解消されたことに加え、シニア層向けのマーケティングが本格的に開始される見込みで、年間売上高が10,000百万円の大台に到達する可能性が高まっている。

 RIZAPの業績伸び率は2016年3月期にさらに上昇する可能性が高い。シニア層の取り込み効果が本格化するのに加え、「ヘルス」「メディカル」「アスリート」「ワールド」「エビデンス」などをキーワードに、広告宣伝活動を一段と積極化するとみられる。その受け皿としての店舗網の拡大計画と、トレーナーなどの人材確保も着実に進捗している。売上高で前期比倍増となる道筋が、高い現実性を伴って見えてきたと弊社では考えている。

 RIZAP以外の事業も好調だ。とくに、赤字体質に陥っていたアパレル関連事業が2015年3月期の第2四半期に水面上に浮上してきたことは大きい。

 2015年3月期の第2四半期累計決算は、売上高18,411百万円(前年同期比101.0%増)、営業利益78百万円(前年同期は670百万円の営業損失)、経常損失15百万円(同394百万円の経常損失)、四半期純利益221百万円(前年同期比84.8%減)となった。計画対比では、売上高で889百万円、営業利益で653百万円、それぞれ上振れとなった。2015年3月期下期においては、この上期の上振れ分を2016年3月期に向けた広告宣伝活動に投下する可能性があるため、単純に上方修正期待とは言い難い面はあるが、現在の会社予想を下回るリスクは極めて小さくなったと言えよう。

Check Point

●累計新規会員22,000人突破、設備能力の早期増強が課題
●新規出店ペース早める、トレーナー人材の確保が急拡大の鍵に
●2Qは収益倍増で営業利益上振れたが、通期は計画を据え置く

会社概要

健康食品の通販で創業、M&Aにより事業ドメインを次々拡大

 同社は健康食品の通信販売を目的に2003年4月に設立された。経営理念に「わたくしたちは、世界でいちばん、イキイキワクワクした『けんこう』をつくり、『えがお』『かがやき』『ありがとう』を世界中に広めます」を掲げ、事業持株会社である同社本体と連結子会社16社及び非連結子会社5社から成る企業グループへと発展・拡大してきた。現在の事業部門は「美容・健康関連」「アパレル関連」「住関連ライフスタイル」及び「エンターテイメント」の4つで構成されている。

 「美容・健康関連」は同社の中核事業であり収益の柱となっている。この中には創業事業である健康食品の通信販売事業のほか、RIZAP事業も含まれている。RIZAP事業は100%子会社RIZAP(株)が手掛けるパーソナル・トレーニングジムの運営事業で、今後数年間で同社の収益規模を大きく変貌させる可能性を秘めた急成長事業だ。

 「アパレル関連」は(株)エンジェリーベ(マタニティウエア)、(株)馬里邑(高級婦人服)、(株)アンティローザ(婦人服・紳士服)の3子会社が中核となっている。商品に競争力がありながらも販売力の弱さで苦戦していた企業を、同社の販売力と事業シナジーにより再生するというコンセプトで展開しており、2015年3月期の第2四半期で収益立て直しの目途が立ちつつある。

 「住関連ライフスタイル」は2013年9月にイデアインターナショナル<3140>を子会社化して参入した事業だ。同社はイデアインターナショナルに経営陣を派遣してコスト削減を始めとする各種の構造改革策を実行し、収益力回復と企業価値の最大化に向けて取り組んでいる。