JBpressが注目する日本の政治家30人

海江田 万里 (かいえだ ばんり)

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海江田 万里
かいえだ ばんり

海江田 万里
現職民主党衆院議員、内閣府特命担当大臣(経済財政、科学技術、宇宙開発担当)
選挙区衆・東京1区
当選回数5
生年月日1949/2/26 67歳
出身地東京都
出身高校都立鷺宮
出身大学慶大法
略歴参院議員秘書を経て経済評論家に。1993年日本新党公認で出馬し初当選。94年離党。民主新党クラブ・市民リーグ代表委員を経て旧民主党結党に参加。00年都連会長、02年政調会長を歴任。09年予算委員会理事、安全保障委員会委員。党選挙対策委員長代理、党政治改革推進本部事務局長に就任。10年財務金融委員長。菅改造内閣で内閣府特命担当大臣(経済財政、科学技術、宇宙開発担当)に就任。
著書常識で生きるとこんな損をする バカを見るのはあなただけ』(青春出版社 1983)、『手にとるように税金がわかる本』(かんき出版 2008)、『僕が小沢政治を嫌いなほんとの理由』(二期出版 1996)、『団塊漂流 団塊世代は逃げ切ったか』(角川書店 2007)
趣味絵画鑑賞、映画鑑賞、読書、漢詩
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【沖縄基地問題】>>他の政治家の見解を見る>>このページのトップへ

 ◆鳩山総理が約束した普天間移設問題解決のタイムリミットまで、余すところ数日となりました。鳩山総理自身が5月末解決の中味について説明した(1)連立与党間の合意、(2)受け入れ先の合意、(3)アメリカの合意、の3つのうち、何とか「大筋合意」が得られたのは、(3)のアメリカの合意のみで月末を迎えそうな雲行きです。

 そのアメリカとの合意も、ふたを開ければ普天間基地の移転先はキャンプシュワブのある辺野古周辺で、時計の針が、政権交代前に戻ってしまった感がします。こうなると沖縄県民の怒りにも道理があると思われますが、今回の普天間問題での不首尾を鳩山総理一人に負わせるのは、不公平ではないでしょうか。

 ◆鳩山総理が沖縄問題に早くから関心を持っていて、沖縄県民の負担を少しでも減らしたいとの思いを持っていたことは、古くからの民主党の議員はよく知っています。まだ小沢氏の自由党と合流する前のオリジナル民主党が結成された直後の党大会を、当時の鳩山代表の強い意向で、沖縄県那覇市で開催したほどです。

 昨年夏の総選挙の際、沖縄を遊説した鳩山代表が「できるなら海外、最低でも県外」と発言したのは、選挙前のリップサービスではなく、鳩山代表の積年の思いからです。

 しかし、問題は、その思いを実現させるための環境整備と下準備が決定的に不足していたことにあります。環境整備の面を考えると、東アジアでは先日の北朝鮮潜水艇の韓国哨戒艦に対する魚雷攻撃に代表される北朝鮮の核やミサイルの問題があります。また最近急激に海軍力を拡大している中国の存在もあります。

 これらの課題に対する解決策が見出せるまでは、沖縄の海兵隊のもつ抑止力は日本の平和と安全にとって必要です。

 ◆政権交代後、鳩山総理が普天間の沖縄海兵隊の問題について、それまでの発言を翻す機会はあったと思います。それは昨年末に、インド洋での海上自衛隊の給油活動を中止することを決定したタイミングです。この時点では沖縄の名護の市長も普天間基地からの航空部隊の受け入れを容認する市長でした。

 ここで「インド洋は撤退するが、同時に普天間の問題で、これまでの合意を覆すと日米関係が持たない。普天間基地の県外移転問題はもう少し先になる。申し訳ないが許してくれ」と沖縄を訪問して率直に話をすべきでした。このチャンスを逸してしまったのは、当時、鳩山内閣の支持率が高く、その自信が、「政権交代したのだから何でもできる」との過信につながってしまったのではないかと思います。

 もちろん、私自身も鳩山総理とは何度も話し合う場があったわけですから、その際に、はっきりとそうしたことを進言しなかった責任はあります。

 ◆1月に入って名護市長選挙の結果が出てから、鳩山総理の思いと、普天間移転問題の現実の動きは徐々に乖離するようになりました。また、内閣の閣僚間の意見の不一致も目立つようになりました。全閣僚が一致して、鳩山総理の思いを少しでも実現しようと懸命に努力している姿勢を国民に見せることができず、逆に迷走のイメージが広がり、鳩山総理は一人で風車に向かうドン・キホーテのように映ってしまいました。

 この上は、日米地位協定の問題や、米軍の訓練先を沖縄県外に少しでも移せるよう、内閣と民主党を挙げて取り組む姿勢を見せることが大切です。

 5月28日に予定されている鳩山総理の会見は、「5月末で沖縄問題は失敗に終わった」と懺悔するのではなく、これからの展望を示すことが必要です。11月にはオバマ大統領の訪日が予定されていますから、このタイミングで日本の考えをアメリカにはっきり主張して、今年50周年を迎える日米安保に対する共同宣言を出すように努力すべきです。(2010年5月26日記)

【消費税・財政再建】>>他の政治家の見解を見る>>このページのトップへ

■社会保障費の財源の議論では、「消費税より相続税だ」との声も。■
■税率や課税ベースの見直しなど、相続税の増税にまず取り組むべき。■

★ 社会保障の財源として、消費税より前に相続税を ★

 菅総理の発言以来、消費税の議論が一挙に盛り上がっています。菅総理の発言では、増税した消費税の使い道がいまひとつはっきりしませんが、大方の理解では、消費税を引き上げて、その収入を社会保障の財源に充てようということではないでしょうか。

 ところが、社会保障の財源ということになると「消費税の前に相続税だ」との声があることも事実です。こうした声が上がる理由は、言うまでもなく、将来の年金や医療保険、介護保険などの社会保障が心配なのは、そもそも少子高齢化に原因があるからです。

 現在のまま少子高齢化が進めば、年金や医療保険、介護保険の制度が現行の制度のままでは早晩「持続不可能」になるのは明らかです。ならばその財源をどこに求めるかの議論の際に、少子高齢化によって、高齢者の資産が増えていることに着目して、先ず、そこから税金を確保しようとの考えが浮かんでくるのも無理からぬことです。

 私たちの父母の世代は、子どもが3人4人といましたから子育にお金がかかって、自分たちの老後に資金の準備をすることができませんでした。それでも3人、4人と子育てをした分、その子どもたちが年金や医療保険の保険料を払って、ちゃんと親の世代の面倒を見てくれたのです。

 それが今や、子どもの数も一人っ子が圧倒的に多数になりました。もちろん、その一人の子どもに塾や習い事などお金をかけていますが、それでも子どもの数が多かったときに比べると、全体で子育てにかかるお金が少なくなったことは事実です。その結果、お年寄りに結構な財産が残ることになりました。過剰な貯蓄があっても、お年寄りは必ず「少子化で年金や医療保険の将来が不安だから、自衛のために自分で資金を準備しておかなければ」と説明しますが、本当にそれだけの資金が必要なのでしょうか。

 もちろん、老後の資金に困っているお年寄りがたくさん居る事実はあります。裕福なお年寄りはほんの一握りだとの指摘は正しいでしょう。しかし、総務省の家計調査によっても65歳以上の高齢者が世帯主の世帯で4000万円以上の貯蓄があるケースは20%、3000万円以上となるとおよそ30%を占めています。将来不安があって、この程度の貯蓄は必要だと考えても、それらの人の多くは結局、その貯蓄をあまり使わずにこの世を去ってしまうのです。その人たちが残した資産に対して適切な課税が行われているかというと、残念ながらそれははなはだ不十分だと言わざるを得ません。

★ 相続税の税率の刻みや、課税ベースの見直しも ★

 現在、毎年およそ100万人のお年寄りが亡くなりますが、そのうち残された遺族の方々が相続税を支払わなければならないケースは、亡くなった方ベースで約5万人です。そしてその金額は1兆5000億円(2010年予算見込み額)です。この税額はガソリンの税収2兆6000億円の57%、酒税1兆4000億円よりやや多いのが実際の税収です。このデータを見てどう考えるかが問題です。

 わが国の税制を考える際に、「所得、消費、資産に対してバランスのとれた税制」とよく言われますが、所得税が約15兆円、法人税が10兆円、消費税が10兆円となっているのに対して、資産課税である相続税が1兆5000億円では、やはり資産に対する税金が軽すぎるのでないでしょうか。

 相続税の見直しについては、これまでも何度か議論されてきましたが、その大きな流れは、従来、累進性がきつかった税率構造を簡素化する方向でした。私が本格的に税制について勉強し始めた1980年代の前半には、相続税の最高税率は75%で、税率の刻みは14段階でした。それが度重なる税制改正で、現在は最高税率が50%で、税率の刻みは6段階になってしまっています。

 お年寄りの間でも格差が広がっている現在、相続税の累進性を元に戻してもいいのではないでしょうか。

 また、わが国の相続税は前述したように、課税の対象になるのが亡くなった方の約5%つまり20人に一人と、圧倒的に多くの方は、残した資産に税金が課税されていないのが実情です。これはひとえに、基礎控除や各種の控除があって、税額の計算上、課税対象となる資産が少なくなってしまうからです。この種の控除を圧縮して、課税ベースを広げて、より多くの方に相続税を負担していただくことも必要です。

★ 法定相続分課税から遺産取得課税方式へ ★

 さらに、現行の相続税の課税方式は「法定相続分課税」といって、実際の相続割合とは関係なく、法定相続割合で相続したという前提に立って税額を決定します。長男が遺産のほとんどを相続しても、法定相続分の計算式で税金が決定されますから、これではせっかく設けた累進税率の効果がほとんどなくなってしまいます。各相続人の法定相続割合で計算した相続税を合計して全体で払う税額を決め、それをそれぞれの相続割合に応じて負担するのが通例です。

 これを、実際に相続を受けた割合に即して、税率をかけて個々の税額を決定する方式に改める必要があります。「遺産取得課税方式」と呼ばれるこの方法に改めれば、多くの遺産を相続した人には、累進税率が効き多額の税金を納めることとなり、結局、全体の相続税額も増額されるのです。

 これまで相続税収は土地の評価額の上下に左右されていましたが、こうした相続税の見直しによって、土地の評価は上がらなくても、毎年の相続税収を増やすことは可能になります。

 もちろん、少子高齢化社会で年金や医療保険、介護保険をしっかりしたものにするには、相続税だけを増税すればいいわけではありません。将来は必ず、消費税についても増税をしなければならないと考えますが、その前に、相続税の増税というのが多くの方の理解を得られる順番ではないでしょうか。

メールマガジン「海江田万里の国会日記」 2010年7月21日号

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