(英エコノミスト誌 2015年2月7日号)

元独裁者の方が失敗した大統領よりは良い選択だ。

 時として、良い選択肢がないこともある。ナイジェリアは2月14日、次の大統領を選ぶ選挙に臨む*1。次期大統領が直面する問題――蔓延する汚職やジハード(聖戦)主義勢力の反乱など――はあまりに大きく、この国を分裂させ、ナイジェリア人と世界に悲惨な結果をもたらす恐れがある。

 そのうえ、アフリカ最大の経済国であるナイジェリアが1999年の民政復帰以来、あるいは40年前の内戦以来最も重要な選挙を実施しようとする中で、ナイジェリア国民は、完全な失敗に終わった現職のグッドラック・ジョナサン大統領と、血塗られた過去を持つ元軍事政権独裁者の野党指導者、ムハンマド・ブハリ氏のどちらかを選ばねばならない。

 大統領候補2人は、ナイジェリアが抱えるすべての問題の解決をいっそう難しくする、壊れた政治システムの象徴となっている。

壊れた政治システムの象徴

ナイジェリア大統領選は3月28日に、安全上の理由で6週間延期

ナイジェリア・ラゴス幹線道路沿いに張られた大統領選候補者のポスター。右は現職のグッドラック・ジョナサン大統領のもの、その左の2枚は野党候補者のムハンマド・ブハリ氏のもの〔AFPBB News

 まず、ジョナサン氏から始めよう。同氏の国民民主党(PDP)は1999年以降政権を担っており、ジョナサン氏は2010年に前任者が死んだことで偶然大統領の座に就いた。

 PDPの政権運営は、お粗末だった。ジョナサン氏は蔓延する汚職と戦う意思をほとんど示さなかった。中央銀行の総裁が200億ドルの資金が盗まれていたことを報告すると、そのご褒美は、解任されることだった。

 それ以上にひどいことに、ジョナサン氏の指揮下で、ナイジェリア北部の大部分が炎に包まれた。

 ここ数年で、約1万8000人が政治的暴力で命を落とした。そのうち数千人は、ベルギーとほぼ同じ広さの領土で「カリフ国家」の樹立を宣言したジハード集団「ボコ・ハラム」が1月に行った数回の残忍な襲撃事件で殺害された。さらに150万人が住居から避難した。

 武装勢力の反乱は、ジョナサン氏の政治基盤である南部から遠く離れており、野党に投票する可能性が高い人たちを苦しめている。同氏はボコ・ハラムと戦う熱意をほとんど見せず、能力はそれ以上に見せてこなかった。

*1=ナイジェリアの国家選挙管理委員会は7日、安全上の理由で、今月14日に予定されていた大統領選を3月28日に延期すると発表した