本記事はLongine(ロンジン)発行の2月5日付記事を転載したものです。

 金融イノベーションの潮流について、国内で唯一のFinTech1(フィンテック)領域のピッチコンテストを行う FIBC(Financial Innovation Business Conference)主催者である株式会社 電通国際情報サービス(ISID) 金融ソリューション事業部の飯田哲夫氏、伊藤千恵氏、立花千香氏にお話しをお伺いしました。

1 FinTechは、Finance(ファイナンス)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語で、近年は特に金融テクノロジー領域のベンチャー企業やそのイノベーションを指して使われることが多くなっています。

Longine編集部から読者に伝えたい3つのポイント

●FinTechによりスマートフォンや統合ICカード、ウェアラブルデバイスなどと連携したPOSやマーケティング情報の提供など、お店の業務をサポートする決済+αのサービス提供が増えるでしょう。
●金融×テクノロジーを活用することで、利用者の利便性や安心、幸せを第一に考えた金融サービスの提供ができると考えています。
●PFM(Personal Finance Management)は利用者側のライフスタイル向上を目的とした金融サービスといえます。

東京五輪が開催される2020年、日本の金融サービスはどうなっているか

Longine編集委員長 泉田良輔(以下、泉田):2020年に訪日外国人旅行客数を2000万人にするという目標があります(日本再興戦略 改訂2014より)。実際、たくさんの外国人観光客をお迎えするにあたって、日本の金融サービスはインフラ面で十分なのでしょうか。

ISID 飯田哲夫(以下、飯田):たとえば、日本にはATMは19万台設置されていますが、PLUS(VISA)、Cirrus(MasterCard)、中国銀聯を利用可能なATMは4.6万台です2。外国人観光客がすぐに使えるATMが日本のATM全体の4分の1というのを多いとみるか少ないとみるかは意見が分かれるところですが、どこでも利用できる環境とはまだ言えませんね。しかし、ここは大手銀行さんが既に対応を始められているので、2020年には多くのATMで日本円を引き出せるでしょう。

2 出所:自民党IT戦略特命委員会 資金決済小委員会「日本における資金決済の将来像 2014版」

泉田:海外ではキャッシュレスが進んでいますよね。コンビニで100円くらいのものを買うときでも、現金を使う必要がないと聞きました。ATMの対応だけで大丈夫なのでしょうか。

飯田:もちろん各国によって事情は異なりますが、欧米ではデビットカードやクレジットカードが普及しています。おかげで、日本から旅行に行った際にも、あまり多く両替しなくてもよいので、便利です。旅行中に多額の現金を持ち歩くのは、ちょっと心配ですよね。