(2015年2月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ここ数日で銀行幹部2人が逮捕された後、中国の反腐敗運動が金融界に広がっている。

 金融界のエリートはこれまで、政府、軍、国営エネルギー企業内の何百人もの人が摘発されてきた大規模な反腐敗運動を概ね免れてきた。だが、最近の銀行幹部の逮捕は、金融業界に対する幅広い取り締まりの前兆というよりは、特定の政界実力者と関係した利権人脈を標的にしているように見える。

周永康氏らとつながる利権人脈が狙い?

 北京銀行は2日夜、取締役の陸海軍氏が「重大な規律違反の疑い」――中国で公務員などの汚職を指す一般的な婉曲表現――で取り調べを受けていると発表した。

 陸海軍氏に対する調査は、胡錦濤前国家主席の側近と関係した捜査で中国民生銀行の毛暁峰頭取が逮捕された一件に続くものだ。

 政府を別にすると、これまでは共産党、軍関係者、エネルギー業界の企業幹部が反腐敗運動で最も頻繁に狙われる標的だった。

 1949年の中華人民共和国の建国以来、正式に汚職に問われた最高位の高官は、元公安トップの周永康氏。国営石油会社の中国石油天然気集団(CNPC)で出世街道を歩み、エネルギー産業を重要な権力基盤の1つとしていた人物だ。

 北京能源投資の代表として北京銀行の取締役を務めていた陸海軍氏の調査は、周永康氏と関係している可能性もある。陸海軍氏は、北京銀行の大株主である北京能源投資の元会長で、それ以前にも多くのエネルギー企業の会長を務めた。同氏にコメントを求めようとしたが、連絡が取れなかった。

 金融システムに目が向けられるようになったのは、胡錦濤前国家主席の元側近の令計画氏と諜報機関幹部の馬建氏に対する調査とも関係しているように見える。

 資産規模で中国第9位の証券会社、方正証券は先月、会長の雷傑氏と連絡がつかなくなったことを明らかにした。この数カ月、方正証券の親会社でハイテク・金融業界のコングロマリット(複合企業)である方正集団と、不動産デベロッパーの北京政泉の間で激しい争いが繰り広げられてきた。