(2015年2月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

現金輸送車から2億円落下・散乱、交通大混乱 香港

ドル高の影響で、米企業の収益に陰りが見えてきた〔AFPBB News

 最も重要なことをまず指摘しておこう。今日の世界で1930年代が再現されようとしているわけではない。経済大国が意図的に「近隣窮乏化政策」としての通貨安を仕掛けているわけではないし、保護主義が物騒な復活を遂げつつあるわけでもない。

 この現状を米国の言葉で表現するなら、「いつも通り、すべてメチャクチャ*1」といったことになるだろう。

 しかしこの水面下には、我々が危険を冒して見て見ぬふりをしている流れがある。ドル高が進行し、輸出の伸びが鈍りつつあるのだ。同じことは米国へのリショアリング(製造拠点の国内回帰)にも言える。その進展が広く予想されていたにもかかわらず、実際には生じていないのだ。

 米国と競争している国のほとんどは金利を引き下げている最中で、その通貨は対ドルで下落している。もしこの傾向が続けば(恐らく、そうなる)、米国の政界が黙ってはいないだろう。ドル高は一般に言われているほど好ましいことではないのだ。

何がドル高に歯止めをかけるのか?

 とはいえ、何がドル高に歯止めをかけるのかは、簡単には分からない。米連邦準備理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長によれば北米の経済成長は「しっかり」しており、北米とそれ以外の主要国との間には間違いなく開きがある。

 両者の差は金融面でも拡大している。10年物米国債の利回りはわずか1.7%という歴史的な低水準にあるが、ほかの先進国の10年物国債利回り(ドイツが0.3%、日本が0.25%、英国でさえ1.3%)に比べれば魅力的だ。投資家はドルを買い続けるだろう。

 FRBがほぼ10年ぶりの利上げに向かうことから、ドルが買われる傾向はさらに明白になるだろう。最近では、米国以外の国のほとんどが金利を引き下げている。この3週間で見ても、カナダとインド、シンガポールが貸出金利の引き下げに踏み切った。オーストラリアとトルコも追随すると見られている。

 欧州中央銀行(ECB)とデンマークの中央銀行は、名目金利がマイナスの領域に突入しつつある。恐らく、ユーロがドルとパリティ(等価)になるのは時間の問題だろう。

*1=situation normal, all fouled up