1月12日、政府による介護報酬の3年に一度の見直しは、2.27%の過去最大級の引き下げで決着しました。

 (注:介護報酬とは、事業者が要介護者や要支援者に介護サービスを提供した場合に、事業者に支払われる報酬のこと。原則として、報酬の1割は利用者が負担し、9割は介護保険から支払われる)。

 この決定の根拠とされたのは、「特別養護老人ホームは平均8.7%の収支差率(利益)を出している」と報告した財政制度等審議会の資料でした。一般的な中小企業の利益率が約2%なのに比べると、介護施設は利益が十分に出ているのだから引き下げても問題ない、という判断をしたということです。

 とはいえ、介護職員の平均年収は正規職員で307万円、月給で22万円(額面・諸手当込み)となっています(厚生労働省の調べ)。厳しい労働条件に比べて給料が低い代表的な職種であり、慢性的な人手不足であることが知られています。

 そんな中で介護報酬を引き下げれば、人件費にしわ寄せがいくのは明らかです。そこで、政府は「介護職員処遇改善加算」を継続することとしました。介護職員1人当たりの加算金額は月額1万2000円にするとのことです。

 これらの報道を聞いてみなさんはどう思われたでしょうか。「儲け過ぎている施設の報酬を適正に修正し、なおかつ介護職員の待遇改善も両立させた」と理解している方も多いことでしょう。