本記事は1月5日付フィスコ企業調査レポート(ティア)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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新株の発行で財務基盤を強化、葬儀会館の新設・改修やシステム増強を推進

 ティア<2485>は、名古屋を地盤に葬儀会館「ティア」を運営する。「葬儀費用の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し、顧客の支持を拡大してきた。2014年9月末時点で直営とFC含めて73店舗を中部、関西、首都圏エリアで展開している。

 11月10日付で発表された2014年9月期の業績は、売上高が前期比6.8%増の9,527百万円、経常利益が同9.3%増の925百万円と過去最高業績を連続で更新した。新規出店効果や家族葬にも対応できる店舗改装を一部の店舗で行った効果もあり、葬儀件数は前期比6.4%増加した。また、葬儀アドバイザーの増員により、葬儀単価が前期比で若干上昇したことも増収要因につながった。一方、利益面では広告宣伝費や人件費など販管費の増加があったものの、商品単価の見直しや内製化の推進など原価率の改善が進んだことで、増益を維持した。

 2015年9月期は売上高が前期比5.0%増の10,000百万円、経常利益が同5.9%増の980百万円と増収増益基調が続く見通し。新規出店は直営4店舗、FC3店舗を計画し、店舗改装も2店舗行う予定で、葬儀件数は前期比7.0%増を見込む。新規出店の拡大や内製化の推進による人件費増や広告宣伝費の増加が続くものの、増収効果でカバーする形となる。

 中長期的な経営目標としては、店舗数で200店舗、売上高16,500百万円を掲げている。出店施策では首都圏での展開や小規模会館の出店を積極的に行っていくほか、今後はM&Aも検討していく。葬儀会社は地域に密着した小規模事業者が多いが、経営者の高齢化が進んでいるといった問題がある。一方で、同社が新規出店するに当たって課題となるのが土地の確保であり、M&Aによって店舗を取得する効果は大きい。超高齢化社会の到来によって死亡人口数の拡大傾向が見込まれるなかで、「適正な料金設定」と「高いサービス品質」を強みとする同社の業績は、今後も着実に成長を続けていくことが予想される。

 なお、同社は11月25日付で新株式発行及び株式売出しを発表している。今回の株式発行により、約1,200百万円を調達し(株式希薄化率は最大で約11%)、2016年9月期までの葬儀会館の新設並びに改装費用、基幹情報システムの増強費用などに充てる計画となっている。また、同社は地盤である名古屋を中心とした中部地区で得た利益を、関東地区での事業展開のための設備資金に投入していく戦略を立てており、今回の資金調達は中部地区での経営基盤を強化し、足場を固めていくといった狙いもある。

Check Point

●安定性や収益性の高さは評価
●今期も4期連続での最高益更新を見込む
●中長期の目標は店舗数200店、売上高16,500百万円

事業概要

「葬儀費用の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し顧客の支持を拡大

(1)事業内容

 名古屋を地盤とした葬儀会館「ティア」の運営を目的に、1997年に設立。「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して、「葬儀費用の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱し、顧客の支持を拡大してきた。名古屋市内の斎場シェアでは約20%と地域内シェアで2番手に位置する。