(2015年1月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ギリシャの選挙で急進左派連合(SYRIZA)が勝った。だが、恐らく同じくらい驚くべきことに、この「極左」政党は、西側のエリート層の意見を味方に引き入れようとする戦いで大きな前進を遂げている。

 多くの主流派経済学者、政策立案者は、ギリシャ経済の状態に危機感を募らせるあまり、国内総生産(GDP)比175%に上るギリシャの公的債務を大幅に削減することが唯一の解決策だというSYRIZAの主張に同意するようになった。

「大幅な債務減免しかない」は本当か?

急進左派ツィプラス党首が首相に、欧州初の反緊縮政権 ギリシャ

1月26日、アテネの大統領官邸で首相の就任宣誓をする急進左派連合(SYRIZA)のアレクシス・ツィプラス党首〔AFPBB News

 「ギリシャの債務は適正規模に減らす必要がある」。英語圏のある上級政策立案者は、ダボスで筆者にこう言った。「ドイツ人は、自分たちが1950年代の債務減免で恩恵を受けたことを思い出すべきだ」

 本紙(英フィナンシャル・タイムズ)の紙面上でも、複数のノーベル賞受賞者からの書簡や一部の寄稿が似たような主張を展開している。

 残念なことに、明示的なギリシャ債務削減は欧州で、解決する以上に多くの問題を生む。3つの主なマイナス効果が見込まれる。

 第1に、債務減免は欧州北部で政治的な反発を招き、極右政党と国家主義政党を強めることになる。

 第2に、極左政党と反資本主義政党が欧州南部で信用を獲得し、ギリシャと同じような債務削減と社会支出の大幅拡大を強く求めるだろう。支出拡大は市場の信頼崩壊につながるものだ。

 第3に、それがたとえ交渉によるデフォルト(債務不履行)だったとしても、ギリシャがデフォルトした場合に生じる欧州連合(EU)加盟国間の信頼の崩壊は、EUの結束を維持するのを難しくする。

欧州北部での政治的反発

 ドイツの容赦ないスタンスに集まる注目は、第2次世界大戦に関する感情的な問題を引き起こすが、ほぼすべてのギリシャの欧州債権者が似たような見解を持つという事実を覆い隠してしまう。

 フィンランドやオランダなどの政治家がギリシャ救済を訴えるのは非常に難しかった。こうした国の懐疑的な市民は、お金が返済されないかもしれないと見ているようだった(みんなバカだな!)。ここで、そうした不安が正しかったことが証明されたら、救済に反対した国家主義政党が得をする。