(2015年1月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 「グローバルな対テロ戦争(global war on terror=GWOT)」は嘲りの大合唱の中で一蹴された。懐疑的な向きは、ジョージ・W・ブッシュ大統領のGWOTは、グローバルではなく、戦争でもないと冷笑した――テロは戦術であって、敵ではないからだ。2009年に米大統領に就任すると、バラク・オバマ氏は密かにこの言葉の使用をやめた。

米国務長官、イランのイスラム国空爆は「有益」

シリア、イラク両国内の広大な領土を支配下に置く過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」〔AFPBB News

 GWOTは不器用なフレーズで不正確な概念だったかもしれないが、悲しいかな、言葉の粗探しは根本的な問題を取り除かなかった。

 どんな名前を付けようとも、世界はジハード(聖戦)主義者の暴力と問題を抱えており、問題が悪化しているのだ。

 この5年間でイスラム過激派の脅威が増大した具体的な特徴が2つある。まず、ジハード集団が活動する地域が広がった。次に、攻撃の頻度と死者数が増加している。

 昨年12月16日にペシャワルの学校で起きた148人(大半は子供)の大虐殺は、パキスタンでは2007年以来最悪の残虐行為だった。それに続き、今月、ナイジェリアでは「ボコ・ハラム」によって最大2000人が殺害され、パリでは2件の襲撃事件で17人が死亡した。

 3つの異なる大陸での3件の残虐な襲撃は、イスラム主義者のテロ攻撃の頻度が高まっているという印象を与える。この印象はデータによって裏付けられる。

データが裏付けるテロ活動の拡大

 米ランド・コーポレーションの最近の調査は、2013年に全世界で活動している49のサラフィー主義ジハード集団を特定した。対して2007年は、その数は28だった。これらの集団は2013年に、記録されているだけでも950件の攻撃を実行し、その6年前の100件から増加している。

 ランド・コーポレーションのこの報告書は、ナイジェリアでの襲撃事件が急増する前に発表されたものだ。米国務省の最近の報告書は、2013年にテロで殺害された人の数を1万8000人と推定していた。だが、同報告書は、米国人の死者は非常に少なく、減少していることも指摘した。

 西側諸国でのテロによる死者の減少は、この問題が米国と欧州で散発的な関心しか集めないことを確実にした。しかし、欧米以外の世界各地では、ジハード武装組織が自由に活動し、訓練できる無法地帯の数が増えている。