(2015年1月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英中銀1.5%の大幅利下げ、欧州中銀は0.5%下げ

ユーロ圏の消費者物価上昇率は昨年12月にマイナスに転じ、デフレ懸念が強まっている〔AFPBB News

 ユーロ圏のデフレは原油価格とは無関係だ。デフレの原因は、ここ数年の一連の政策ミス、つまり、2011年の利上げ、2013年にインフレ率が崖から落ちた際に行動しなかったこと、そして景気後退の最中に緊縮財政を推し進めたことなどだ。

 欧州中央銀行(ECB)が「2%に近いが、2%を下回る水準」というインフレ目標を達成できていたら、原油価格の急落は無害だったろう。インフレ率はせいぜい2%から1%まで下がる程度だったはずだ。中央銀行はこれを無視してよかった。

 だが、ゼロに近いところから始めると、デフレに陥ってしまう。

 今から1年前、ユーロ圏はショックが1度起きただけでデフレに陥ると言われていた。それ以来、我々は2つのショックを経験した。ロシアによるウクライナ侵攻と原油価格の下落だ。

 ショックは起きるものだ。また、ユーロ圏のような石油純輸入国・地域にとっては、原油安は通常なら恩恵となる。

ドイツの賃金交渉に見る低インフレの影響

 しかし、遅れてやって来る二次的な効果は警戒しなくてはならない。すでに、ドイツの賃金交渉担当者が賃金計算式で2%というECBのインフレ目標を引き下げている兆候が見られる。

 担当者らは概して、ECBのインフレ目標とドイツの生産性拡大の一部を合算して賃上げ幅を算出する。だが、インフレ率がゼロで推移すると、この計算式に残るのは生産性だけで、その生産性も大して拡大していない。インフレ予想が低下すれば、賃上げ率も低下することになる。

 ブリュッセルに本拠を置くシンクタンク、ブリューゲルのアリソン・マンドラ氏は、ドイツの名目賃金が2014年に2.4%増加したと試算している。残念ながら、この水準が限界だ。2015年の賃金交渉から読み取れる初期のシグナルは、賃上げ率が再び低下に向かっていることを示唆している。

 ドイツ企業は完全に合理的に振る舞っている。ユーロ圏のインフレ率は最近、マイナスに転じた。ドイツ国債の利回り――2年債でマイナス、5年債はゼロ――は、投資家がインフレ率が長期にわたってゼロ近辺で推移すると予想していることを物語っている。企業の賃金交渉担当者がこれと異なる見方をする理由はない。