(2015年1月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

フランス全土で反テロ集会、史上最多の370万人参加

パリのテロ攻撃をどう解釈すべきなのか(写真は1月11日、パリのレピュブリック広場で行われた反テロ集会)〔AFPBB News

 先週のパリでの事件はどのように解釈すべきなのだろうか。なぜ自らの信仰のために他人をあやめたり自分の命を投げ出したりすることを覚悟してしまうのだろうか。

 自由民主主義国はどのように対処すべきなのか。こういった疑問を抱いている人はたくさんいるに違いない。

 実はこれらの問題には、エリック・ホッファーという傑出した人物が1951年に発表した著作『The True Believer: Thoughts On The Nature Of Mass Movements(邦訳:大衆運動)』取り組んでいる。ナチズムと共産主義を受けて練られた本書の考え方は、今日でも力強さを失っていない。

信仰のために命を捧げるトゥルー・ビリーバー

 ホッファーは20世紀の初めに生まれ、1983年に亡くなった。レストランや移民を雇う農場での作業、金鉱山の試掘などの仕事を経た後、25年にわたってサンフランシスコで港湾労働者として働いた。全くの独学だったが、事の本質を見抜き、明晰かつ素晴らしい文章でまとめる能力を持っていた。

 『トゥルー・ビリーバー』は筆者お気に入りの書物の1つであり、今回も貴重な手引書になってくれている。

 では、トゥルー・ビリーバーは一体どんな人のことなのか。先週のパリのテロ攻撃を引き起こしたサイド・クアシ、シェリフ・クアシとアメディ・クリバリという男たちはトゥルー・ビリーバーだった。アルカイダやタリバン、イラク・シリアのイスラム国(ISIS)、あるいはボコ・ハラムなどで活動している人々もそうだ。昔のナチスや熱狂的な共産主義者たちもそうだった。

 ホッファーによれば、トゥルー・ビリーバーの特徴は彼らの信仰の内容ではなく、信仰の主張の性質にあるという。彼らの信仰では、自分たちの教義が絶対的に正しいと主張されており、信者は絶対的な忠誠を求められる。

 トゥルー・ビリーバーとはこうした主張を受け入れ、こうした要求を喜んで受け入れる人たちだ。彼らにとってはこの世界で大義が成就することの方が自分の命よりも、あるいはほかの誰の命よりも重要であるために、彼らは大義のために他人をあやめたり自分の命を投げ出したりすることを覚悟している。従ってトゥルー・ビリーバーは狂信者だということだ。