(2015年1月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、中国からの200億ドル相当の投資を発表した。だが、大統領が口にしなかったのは、訪中で狙っていたものを手に入れたかどうかだった。すなわち、ベネズエラにとって最大の債権国からの資金調達の命綱である。

 このような曖昧さは、中国経済の減速とコモディティー(商品)価格の崩壊が中南米諸国への中国のラブコールを試していることについて多くを物語り、また、すでにジンバブエで示されたように、資源国の中で最も緊密な友好国に対してさえ闇雲に現金を約束するのを渋る中国の姿勢を浮き彫りにしている。

投資に慎重になる中国

 これは中南米諸国にとって悪い知らせだ。過去10年間、中国は中南米地域に1000億ドルを超える貿易信用と投資を注入しており、最大の顧客の一部は1月初旬、不景気を乗り切るための新たな資金を求めて、しおらしい態度で中国を訪問した。

 チリ、ブラジル、ぺルーはいずれも重要な貿易・投資相手国だが、中国のエクスポージャー(投融資残高)が最も大きいのは、ベネズエラ、エクアドル、アルゼンチンの左翼系政府との国家間協定だ。

 これらの国々は西側の資本市場から締め出されていることが多く、中国の資金を、民間部門による融資や、国際通貨基金(IMF)のような米国政府が支配する貸し手からの多国間融資に代わる「南南」融資と表現してきた。

 そうした戦略は、中国をこの地域で最も不安定な一部経済国に縛り付けており、コモディティーブームの終焉とともに、中国は新たな支援をどれくらい提供するのか決めなくてはならない。中国は1月初旬、「中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)」――ベネズエラの故ウゴ・チャベス大統領によって設立された中南米の地域団体で、あからさまに米国を外している――と初の首脳会議を主催した*1

 中国の国有銀行や国有企業は、国際金融や国際投資では比較的新参者であり、中南米に長年投資している投資家にとってお馴染みの景気の波を1度も経験したことがない。

 「中国がデフォルト(債務不履行)にどのように対処するのか見ようと、誰もが注目している」。『The Dragon in the Room: China and the Future of Latin American Industrialisation(部屋の中の龍:中国と中南米工業化の未来)』の著者であるボストン大学のケビン・ギャラガー氏はこう話す。

*1=初の「中国・中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)フォーラムは1月8日、9日の両日に北京で開催された