(英エコノミスト誌 2015年1月2日号)

2014年のアジアは、終わってみれば、1914年の欧州ではなかった。だが、その類似には注意を払わなければならない。

 「節目の年」は暦の上の偶然にすぎないが、無視するのが難しいこともある。2014年は第1次世界大戦開戦から100年目にあたる年だった。そのため、この戦争で何百万もの命を失った国々では、厳粛な式典が執り行われた。

 また、一部の人々は、この戦争を引き起こした状況に、現在の厄介な戦略的緊張、とりわけアジアにおける緊張をなぞらえた。

 20世紀初頭の欧州とその100年後のアジアには、無視するにはあまりにも多くの類似点がある。実際、また世界的な対立が勃発するのではないかという懸念を生むほど気がかりな類似だ。年が変わっても、引き続き過去との類比は盛んに行われるだろうが、類似点だけでなく、相違点にも注意が向くようになるかもしれない。

 ハーバード大学の政治学者ジョセフ・ナイ氏が指摘したように、「戦争は決して不可避なものではないが、不可避であると信じることが戦争の一因になる場合もある」のだ。

日中関係の緊張に言及した安倍首相の意図

安倍首相、「アジアでの軍拡」に警告 中国をけん制

2014年のダボス会議で基調講演を行う安倍晋三首相〔AFPBB News

 公式な発言の中で100年前との類似に触れた政治家のうち、最も発言に重みがあったのは、恐らく日本の安倍晋三首相だろう。

 安倍首相は2014年1月にダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、中国と日本が1世紀前のドイツと英国と「似た状況」に置かれていると発言した。

 日本と中国は、尖閣諸島(釣魚島)を巡って緊張状態に陥り、両国関係は行き詰まっている。そうした状況を考えると、安倍首相の発言は憂慮すべきものだ。

 この発言は、ちょうど1914年のバルカン半島で起きたテロ行為と同じように、小さな領土を巡る2014年の小競り合いが、世界的な紛争の引き金となる可能性を示唆していた。何しろ米国が、この無人の島々も日米間の安全保障条約の対象に含まれると、たびたび明言しているのだ。

 実のところ、安倍首相が訴えたかった点は、極東地域で軍事的対立が激化しているということではなかったようだ。