(2014年12月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 70歳のチェン・ユランさんは、勉強が忙しすぎて年を取っていられないと言う。毎週、上海老年大学であまりに多くの授業を受けているため、洋服を買いにいく時間さえない。

 中国に5万校近くある高齢者向け教育機関のネットワークの一端を担う同大学は、ここでも手助けしてくれる。中国人民解放軍に所属するダンサーだったチェンさんは、中国版イーベイとも言える「淘宝(タオバオ)」でモノを売り買いする方法を学ぶコースを取り、服にかける時間とお金を節約する方法を学んだ。

 「もう10年以上、ここで勉強し、毎週月曜日から金曜日まで授業で忙しくしています」。チェンさんはこう言う。「どんどん若返っている感じがしますよ!」

 大学には、電子ピアノから古筝、二胡、琵琶などの伝統的な中国の弦楽器に至るまで、あらゆることを教えるためのピカピカのスタジオがある。すべての設備は上海政府から支給されたものだ。上海当局は高齢者の教育が、市内の高齢者の健康と幸福を保ち、老人ホームに入らないようにしておくうえで重要なカギを握ると見ているのだ。

今世紀半ばまでに60歳以上の人口が5億人に

 世界の多くの地域と同様、中国も高齢化問題を抱えているが、ここでは「一人っ子政策」として知られる出産制限が課された30年間によって問題が悪化している。中国では、今世紀の半ばまでに、60歳以上の人口が5億人近くに達する可能性がある。

 60歳というのは中国の男性会社員の退職年齢で、この国では総じて退職者が若い。例えば、きつい力仕事をする女性は45歳で退職することができ、すべての女性が55歳までに退職する。

 人口2300万人の都市である上海では、市政府は高齢者の90%を自宅に住まわせておきたいと考えている。だが、近年は多くの人が無機的な高層マンションに1人で住んでおり、成人した子供たちと離れて暮らしていることが多い。高齢者教育の目標の1つは、彼らに人付き合いを促すことだ。