クルマ業界は水素ブーム

 2014年12月15日、トヨタ自動車は世界初の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売した。FCVは、走行時に「H2+1/2 O2=H2O+電気」と、CO2は一切排出せず水しか出ない。それゆえ、「究極のエコカー」と呼ばれている。

 2011年以降、クルマ業界では、水素で走るFCVがブームの兆しを見せている。2011年9月にルノー・日産自動車とダイムラーが燃料電池自動車開発分野での共同開発に合意、2013年1月にトヨタとBMWが提携、同月にルノー・日産自動車とダイムラーの提携にフォードが加入、7月にホンダとゼネラルモーターズ(GM)が提携している。

 そして、2014年12月に、世界で先駆けて、トヨタがFCVを発売した。2015年には、ホンダも発売を予定でしている。

業界に反旗を翻すテスラモーターズ

 クルマ業界がこぞってFCVに進む中、映画「アイアンマン」のモデルにもなったイーロン・マスクがCEOを務める米テスラモーターズは、迷うことなく電気自動車(EV)路線を突っ走っている。

 EVには、スピードが遅く、見栄えが悪く、航続距離が短く、性能も低い上に、価格だけは高いという悪いイメージがある。

 マスクは、このイメージを一新するため、2008年に1276~1481万円の超高級車「ロードスター」を発売した。1回の充電による航続距離は394キロメートル、時速0キロメートルから97キロメートルまで加速する時間は僅か3.7~3.9秒。このポルシェ並みの加速性能が評判となって、ハリウッドスターたちが買い求めた。