燃料電池車と電気自動車、
どちらが「真のエコカー」なのか?

「Well to Wheel」から見たCO2排出量の違い

2015.01.07(水) 湯之上 隆
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 上記のCO2排出量は、ガソリン車の3分の1から2分の1程度である。ところが、イーロン・マスクが推し進めようとしている太陽光による充電では、CO2排出量が何と1グラムになる! もちろん、まだこの段階には到達していないが、これが実現すれば「EVが真のエコカー」であることは疑う余地がない。

課題はどちらもインフラ整備

 太陽光で水素を作ってもCO2排出量は14グラムだが、太陽光を充電したEVならCO2排出量はたったの1グラムになる。「人類を滅亡から救う」ことを起業の目的にしているイーロン・マスクがEVを選択しているのは、このためである。

 FCVの普及のために、JX日鉱日石エネルギーは、2020年をめどに国内10拠点で水素を生産し、約2000店に水素スタンドを導入する計画だという(「日本経済新聞」2014年12月22日)。しかし、天然ガスなどの改質による水素を使っている限り、Well to Wheelから見たCO2排出量はガソリン車の半分にもならない。

 一方、イーロン・マスクは、米国ですでに100カ所の充電設備を設置し、EVでアメリカ本土を縦断できる環境づくりに乗り出している。中国では国営通信大手のチャイナ・ユニコムと120都市400カ所にEV用充電器を整備すると発表した。日本でも急速充電器の設置を独自に進めるという(「日経ビジネス」2014年9月29日)。

 さらに、マスクは「世界どこでも充電無料」と明言している。そして、行く末はマスク自身が会長を務めるソーラーシティが、EV充電用に太陽電池の設置を計画している。

 CO2排出量を劇的に低減するには、「FCV+太陽光」か「EV+太陽光」しか選択はない。そして、「究極のエコカー」と言えるのは、どう考えても後者である。

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微細加工研究所 所長。1961年生まれ。1987年、京都大学大学院(修士課程原子核工学専攻)を卒業後、日立製作所に入社。16年間にわたり、中央研究所、半導体事業部、デバイス開発センター、エルピーダメモリ(出向)、半導体先端テクノロジーズ(出向)にて、半導体の微細加工技術開発に従事。2000年に、京都大学より工学博士。2003年~2008年にかけ同志社大学の技術・企業・国際競争力研究センターにて半導体産業の社会科学研究を推進。長岡技術科学大学客員教授も務める。

日本半導体・敗戦から復興へ

1980年代半ばには「産業のコメ」とも言われ、世界市場で5割以上のシェアを誇った日本の半導体産業。だが、その後の20年で一気に凋落し、かつての隆盛は見る影もない状態だ。半導体産業が衰退した原因を踏まえて、「ガラパゴス」化しつつある日本の製造業が生き延びていくための処方箋を考える。

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