燃料電池車と電気自動車、
どちらが「真のエコカー」なのか?

「Well to Wheel」から見たCO2排出量の違い

2015.01.07(水) 湯之上 隆
    http://goo.gl/ef9d2u
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 ガソリン車は1キロメートル走ると147グラムのCO2を排出する。欧州などでエコカーとして普及しているディーゼル車は、ガソリン車よりも若干少ない132グラムである。「プリウス」などのハイブリッド車は95グラムで、ガソリン車の約3分の2程度のCO2排出量である。

 「究極のエコカー」と呼ばれるFCVはどうか。ステーションで都市ガスを改質して水素を作った場合(オンサイト都市ガス改質)のCO2排出量は79グラムである。また、天然ガスを改質して水素を作りステーションに輸送した場合(オフサイト天然ガス改質)のCO2排出量は78グラムである。

 当面、水素の供給は上記2つのどちらかになる。ということは、Well to Wheel から見たFCVのCO2排出量は、ガソリン車の場合の半分にもならない。

 太陽光を用いてアルカリ水から水素を作る場合(オンサイト太陽光アルカリ水電解)、CO2排出量は14グラムと非常に少なくなる。「究極のエコカー」という言葉は、このくらいの値が実現してから使うべきではないか。

 逆に、極端なケースとして、石炭による火力発電でアルカリ水から水素を作った場合、CO2排出量は260グラムという大きな値になる。

 以上から分かるように、水素をどのようにして作ったかによって、排出されるCO2の量が大きく変わる。したがって、「FCVだからエコカー」とは必ずしも言えないのである。新聞や雑誌が「究極のエコカー」と書き立てるのは、現時点では過剰宣伝だろう。

Well to Wheelから見たEV

 次に、EVのCO2排出量を見てみよう。2011年の東日本大震災が起きる前の2009年の電気で充電した場合(電源構成:2009年度)のCO2排出量は55グラムである。この時、電力は、原子力、水力、火力などに分散していた。これが大震災後になると(電源構成:2012年度)、CO2排出量は77グラムとやや大きくなる。これは原子力発電がすべて停止し、その結果CO2を排出する火力発電の割合が増えたからである。

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微細加工研究所 所長。1961年生まれ。1987年、京都大学大学院(修士課程原子核工学専攻)を卒業後、日立製作所に入社。16年間にわたり、中央研究所、半導体事業部、デバイス開発センター、エルピーダメモリ(出向)、半導体先端テクノロジーズ(出向)にて、半導体の微細加工技術開発に従事。2000年に、京都大学より工学博士。2003年~2008年にかけ同志社大学の技術・企業・国際競争力研究センターにて半導体産業の社会科学研究を推進。長岡技術科学大学客員教授も務める。

日本半導体・敗戦から復興へ

1980年代半ばには「産業のコメ」とも言われ、世界市場で5割以上のシェアを誇った日本の半導体産業。だが、その後の20年で一気に凋落し、かつての隆盛は見る影もない状態だ。半導体産業が衰退した原因を踏まえて、「ガラパゴス」化しつつある日本の製造業が生き延びていくための処方箋を考える。

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