平成26(2014)年12月3日、国民の期待を担った小惑星探査機「はやぶさ2」が打ち上げられ、6年間の旅に飛び立った。

小惑星に着陸する「はやぶさ2」想像図、JAXAが公開

小惑星に着陸する「はやぶさ2」(想像図)〔AFPBB News

 「はやぶさ2」の使命を握ると言われるのが、小惑星に爆薬でクレーターを作る「インパクタ」である。

 この技術は戦車のような硬いものを貫徹するための対戦車榴弾に使用されている技術の応用である。爆発で得たエネルギーを漏斗状の器で収束させるもので、モンロー効果と呼ばれる原理の応用である。

 防衛技術がインパクタの実現を可能にしたように、近年は兵器などの先進防衛技術が民用に、また装備品の価格低減のために民間技術の軍事利用が盛んになっている。

兵器を造れなかった防衛企業

 敗戦後は軍隊が廃止され、当然のことながら戦車や戦闘機などは不必要となり、製造も許されなかった。

 大東亜戦争で赫々たる戦果を挙げ、世界に誇ったゼロ戦(零式艦上戦闘機)の技術を有しながら、戦後の日本は米国の産業政策によって民間使用の航空機さえ造ることが許されなかった。

 軍隊を有しない日本においては、兵器は存在し得ない。しかし、戦前に兵器を製造してきた防衛関連企業は、“いつの日か”を夢見つつ、鍋や釜を作って辛抱しながら捲土重来を期していた。