本記事は12月12日付フィスコ企業調査レポート(萩原電気)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
寺島 昇
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電装化や非自動車の拡大による成長シナリオは不変

 萩原電気<7467>は名古屋を地盤とする半導体、電子部品の商社である。売上高の約86%が自動車業界向けで、トヨタ自動車<7203>グループを主要顧客に持つ。

 2015年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が42,661百万円(前年同期比1.8%増)、営業利益が1,300百万円(同14.8%増)、経常利益が1,300百万円(同17.1%増)、四半期純利益が790百万円(同26.4%増)だった。北米市場を中心に需要が底堅く推移し、新商材が寄与した。

 2015年3月期の連結業績見通しについては、売上高が88,500百万円(前期比1.0%増)、営業利益が2,650百万円(同5.4%増)、経常利益が2,600百万円(同5.4%増)、当期純利益が1,600百万円(同15.5%増)としており、期初予想から若干上方修正された。主要顧客であるトヨタ自動車が世界生産台数を微増と見込んでいることから、堅めの予想となっているが、今後の生産台数動向によっては上方修正の可能性が残る。

 同社は単なる商社機能だけでなく、提案力、開発力を生かして企業付加価値を高めている。中長期的にも主要顧客であるトヨタグループのハイブリッド車生産増の恩恵、さらに非自動車部門の拡大によって成長が続くとみられる。また同社株式は2014年11月27日から東証及び名証の市場第一部銘柄に指定となった。

Check Point

●2Qは営業利益と経常利益が過去最高
●19年3月期に売上高110,000百万円、営業利益3,500百万円へ
●東証1部へ指定替え、配当性向は25%以上が目標

会社概要

デンソーなどトヨタグループが主要取引先

(1)沿革

 創業者である萩原忠臣(はぎわらただおみ)氏がアンリツ<6754>勤務を経て1948年に創業し、無線機などの電子機器メーカーとして会社を設立した。1956年にNEC<6701>の販売特約店として真空管販売を始め、1970年代に自動車分野へ進出。これを機に事業を拡大し、現在はデンソー<6902>などトヨタグループ企業を主要取引先としている。株式を1995年に店頭市場(現ジャスダック)に上場し、2014年3月には東京証券取引所市場第二部、名古屋証券取引所市場第二部に上場変更した。また、同年11月27日には、両市場において第一部銘柄に指定された。

自動車電装化の高まりが成長の追い風に

(2)事業内容

 同社の主たる業務は、マイクロコンピューター(マイコン)や各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、それだけでなく産業用電子機器の開発、生産も行っている。車載用半導体などでは、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供を行っている。ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えている。