(英エコノミスト誌 2014年12月20・27日合併号)

先見性のあるエコノミストの新刊書

夕暮れの東京タワーと富士山

日本がバブル崩壊後の不況に苦しんでいた時は、欧米のエコノミストが盛んに説教をしたが・・・〔AFPBB News

 日本語で「Schadenfreude*1」は何て言うのだろうか? 1990年代後半から2000年代前半までの大半の期間を通して、西側の経済学者や政治家は嬉々として、日本が資産バブルの後に犯したミスについて日本政府に説教した。

 だが、金融危機の引き金を引いた投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻から6年経った今、多くの西側諸国はまだ、それなりの成長を生み出すのに苦労している。

 これらの国の中央銀行は、金利をゼロ近くに維持することを余儀なくされている。欧州諸国の国債利回りは、日本と同様、歴史的な低水準に落ち込んだ。経済学者やエコノミストの中には、「長期停滞(secular stagnation)」の新時代について話している人もいる。

危機後に西側諸国が犯した過ち

 野村総合研究所のリチャード・クー氏の新著*2は、西側諸国もひどい過ちを犯したと主張している。

 「我々は経済危機だけでなく、経済学の危機も経験している」と同氏は書いた。「大半のエコノミストは現在の危機を予測することができず、経済学に携わる職業そのものが、どんな対応を講じるべきかという問いに答えようとして完全な混乱状態に陥った」

 クー氏によると、2008年の景気悪化は、同氏が「バランスシート不況」と名付けたものだった。バランスシート不況は、民間部門が資産(特に不動産)に投資するために多額の借り入れを行った時に発生する。資産価格が下落した時も、債務の名目価値は変わらない。

 金利の引き下げは(債務の元利払いのコストを引き下げることで)多少役に立つが、人々に資金の借り入れを増やすよう促すことにはならない。企業や消費者はまだバランスシートを修復しようとしているからだ。

 「西側の大半の国の民間部門は現在、ゼロ金利にもかかわらず、債務を最小限に抑えるか、貯蓄を最大限に増やそうとしている。これは伝統的な理論とは完全に食い違う行動だ」。クー氏は新著でこう書いている。

*1=ドイツ語から来た言葉で、日本語で言うなら「ざまあみろ」といった意味

*2=“The Escape From Balance Sheet Recession and the QE Trap: A Hazardous Road for the World Economy”, published by John Wiley