本記事は12月10日付フィスコ企業調査レポート(メディカルシステムネットワーク)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
佐藤 譲
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収益性は着実に改善、2015年3月期は2ケタ増収増益を見込む

 メディカルシステムネットワーク<4350>は、中小調剤薬局向け医薬品等ネットワーク事業と調剤薬局事業を2本柱として事業を展開している。調剤薬局事業ではM&Aも活用したグループ拡大戦略を推進中。10年後に連結売上高で3,000億円規模を目指す。

 2015年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比18.0%増の35,911百万円、営業利益が同26.4%減の888百万円とほぼ会社計画どおりの着地となった。前年11月に子会社化したトータル・メディカルサービスの売上げが増収に寄与した一方で、営業利益は4月の薬価改定及び調剤報酬改定の影響等により減益となっている。

 2015年3月期は売上高が前期比14.9%増の76,013百万円、営業利益が同15.0%増の2,404百万円と2ケタ増収増益を見込む。医薬品等ネットワーク事業における加盟件数の拡大が見込まれるほか、調剤薬局事業では後発医薬品取扱いや在宅業務への取り組みを強化することで店舗収益力の向上を図り、また地域子会社の集約化や調剤本部システムの本格稼働による間接コストの削減効果もあって増益を見込んでいる。売上高に関しては、新規出店店舗の抑制もあって計画をやや下回る可能性はあるが、収益性は着実に改善しており、利益ベースでの計画達成は可能と弊社ではみている。

 調剤薬局の市場環境は、中小規模の薬局において年々厳しさを増しており、大手企業のグループに入ることや、同社のネットワークに加盟することが生き残りのための有力な選択肢となりつつあると言える。実際、同社のネットワーク事業の当第2四半期累計期間における新規加盟件数は半期ベースで過去最高を記録するなど増加ペースが加速しており、同事業の今後の成長が期待される。

 国内の薬局数は約5.7万店舗あり、その大半は中小零細の薬局となっている。同社はネットワーク事業における加盟件数の増加と同時に、調剤薬局事業ではM&Aも活用しながら店舗の拡大を図り、それぞれの事業を両輪として一段の収益成長を目指していく戦略だ。

Check Point

●新中期3ヶ年計画では売上高1,000億円、10年後に3,000億円を目指す
●営業利益と経常利益は2011年9月期以来最高となる見通し
●低金利下で財務レバレッジを効かせた事業拡大戦略を継続

事業概要

営業利益は医薬品等ネットワーク事業と調剤薬局事業で2分

 同社は医薬品等ネットワーク事業と調剤薬局事業を2本柱として、周辺事業となる賃貸・設備関連事業や給食事業、治験施設支援事業などを行っている。医薬品等ネットワーク事業は同社と子会社のシステム・フォー及びH&Mで運営しており、調剤薬局事業はファーマホールディング、その傘下の子会社及び北海道医薬総合研究所で展開している。